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聴いてみた 第0回 Let It Be ・・・ Naked

本来は「聴いてない」シリーズの後日談として「聴いてみた」シリーズがあるべきですが、まあいいや。
遅ればせながら、ようやく聴いてみました、ネイキッド。

発売前から今に至るまで、世界中のファンやら評論家やらマニアやら一般人まで、無数の評論が発表されているだろうことは想像に難くない。
なので、今更自分のような偏差値の低いリスナーの感想など、発表すること自体が資源のムダづかいのようにも感じますが、思うところをしたためてみます。

自分が購入したのは輸入盤。
どこの国のかはわからない。
値段は500円。
中古ではなく、バーゲン品である。
先日出版業界の展示会があったのだが、その会場で洋書バーゲンも行われており、CDも少しだけ置いてあったのである。

他にクイーンのベスト盤やノラ・ジョーンズなんかもあったが、1500円だった。
なぜかネイキッドだけ500円。
間違いか?とも思ったが、値段につられて買ってしまいました。
発売から半年ほどたったとはいえ、ネイキッドが500円。
ラッキーとは思ったけど、なんとなく寂しいよなあ。
500円で買っておいてそういうこと言うなって。

で、おうちに帰って聴いてみた。
雑誌やらネットやらで一通りの知識は入っていたのだが、「音がクリアで・・」「ポール積年の望みだった再編集がついに実現し・・」だのといった、見てきたような感想をもらす評論にもいささか食傷気味だったので、とにかく自分の感性で聴くことだけ心がけた。

とりあえず石でも飛んで来そうな気配もありますけど、言ってもいいかね。
「・・・・フィル・スペクターって、やっぱスゴクない??」

自分はビートルズ完全後追い世代ですけど、フィル盤(と呼んでいいのか知らんけど)は何度も聴いている。
「Abbey Road」「Sgt.Pepper's」を含めた3枚が、たぶん一番聴いているアルバムだ。
歌って演奏してるのはビートルズなんだから、彼らがスゴイのは言うまでもないよね。
ただ「Let It Be」のころ4人の歩調はバラバラで、アルバムとしてもまとまりに欠けるという評価が一般的だったりするらしい。
そんな曲をかき集めて編集し、商品として聴ける水準に持っていこうとしたのが、フィル・スペクターだという話。

全曲のうちどのあたりがフィルの仕事による成果なのかよくわかりませんけど、「The Long And Winding Road」の大げさなコーラスやらオーケストラやらが、フィルのしわざなんでしょ?
いいと思いますけど。
つーか、ネイキッドのほう、正直物足りないス。

「Get Back」にしても、ジョンの適当な替え歌にはじまり、最後に「これでオーディションは通ったかな」というジョークで終わるというところがいいと思うのです。
皮肉にもそれが本当のビートルズの終了宣言になってしまったことも含めて、オリジナルの方には味わいがあるんじゃないかなあ。
ネイキッドの方は突然始まっていつの間にか終わっていて、ドラマが感じられない。
しかも1曲目・・・

オリジナル盤で、「Get Back」を編集したりラストに持ってきたのはフィルじゃないんですかね?
ちなみに曲自体と、ジョンの替え歌とジョークの部分は、音源は別だそうですね。
曲の前後にルーフトップライブでの音をつなげて編集したということですけど、これってすごい秀逸なセンスだと思います。

もちろん音質自体はネイキッドの方がいいだろうし、まだ1回しか聴いてないから、ネイキッドのよさがわかるのもこれからだけど。

「Two Of Us」の前のジョンのやや品のない言葉、「Dig It」「Maggie Mae」といったお遊び曲、こうした猥雑さがオリジナル盤の魅力でもある、ということを、ネイキッドによって改めて認識した次第。
「自分の感性で」などと言ってはみたが、結局フィル・スペクターのどっぷり産業デザインに毒されている(言い過ぎ?)と言えなくもないですけどね。
もしそうだとしても、そんな自分の感性が嫌いではないと、自信を持って言うことにしよう。

さて、本稿を書くにあたって、一切参考にしないことを心がけた文章がある。
このblogでも何度か紹介しているが、友人のミュージシャンいしはらが、ネイキッドに関して綴ったものだ。
自分のような薄いリスナーでは到底考えつかない独自の説を展開しているので、ぜひご一読下さいませ。


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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。
私の友人に何人かビートルズファンがいますが、「...Naked」を
聴いた後、「やはりオリジナル(フィル盤)がいい」という結論
になっていました。むしろ、ビートルズのアルバムとしては、
スペクターのオーバープロデュースといわれて、もともと評価が
今ひとつだったようですね。ですが、みなこのフィル盤を何年も
聴いてきているので、もはやスペクターだから、と単純に切って
捨てられるものではないのだそうです。

私の場合、「...Naked」が発売されて「ちょうどいいや」とばかりに
初めてこのアルバムを聴きました。現代的でクリアーなサウンド、
ロック的なミックスダウンと、非常に聞きやすかったです。初めて
ビートルズを聴く若い方には、結構いいかもとも思いました。
その後、フィル盤を聴きました。順番がめちゃくちゃです(笑)。
それはさておき、今まで言われていたほど悪くは
ないし、音も厚みがあっていいじゃないかと思いました。
今までの悪口はなんだったのでしょうか?

投稿: モンスリー | 2004.05.03 17:11

発売されてすぐ買っちゃいました。ここの楽曲はフィルの力はすごいと思います。このたび聞き比べたため、オリジナルも聞き込んじゃったら、フィルが追加した音や編集したやつ、計り知れないものがありますね!多少強引なとこもあったけど、LetItBeのリズムなんていろんなとこ差し替えてるのバレバレだけど、すごいかっこよくなってます。Nakedにくらべるとね!ただ、ブラスはいらないよううな気がします。The Long ・・にいたっては天才ですね!でも、アルバムとしてはNakedってなかなかよくないですか?曲順とかもいいような気がしたのは自分だけ??

投稿: マルチオーディオ | 2004.05.03 19:39

モンスリーさん、マルチオーディオさん、コメント感謝です。
思ったよりオリジナル盤の評価が高いですね。
曲順については、やはりネイキッドには抵抗があります。
最後はやはりGet Backで終わってほしいですね。
ちなみにオリジナル盤の「Get Back」「Let It Be」をずっと聴いてきたので、青盤の2曲にも抵抗あるなあ。
結局聴きなれた音がいいってことなんでしょうか。

全然関係ありませんが、キムタクで浮かれたQueenの「Born To Love You」ですが、リアルタイム世代としては「あれはもともとフレディの曲なんですけど・・」と、つい若い世代に余計なネタを教えてやりたくなります。

投稿: SYUNJI | 2004.05.05 20:42

SYUNJIさん、マルチオーディオさん、こんばんは。
>>LetItBeのリズムなんていろんなとこ差し替えてるのバレバレ

いくつかの評で読みましたが、「...Naked」は最新のテクノロジーを
駆使してできあがったそうですね。

>>ブラスはいらないよううな気がします
>>大げさなコーラスやらオーケストラやらが、フィルのしわざ

白状しますと、スペクター的なものは大好きなんですが、「アクロス・・・・」
と「ロング・・・・」はもともとバラードが苦手なところに仰々しいアレンジ
のような気がして、どうしても好きになれない曲でした。ですから
この2曲は「...Naked」版の方が好きでした。

>>オリジナル盤の「Get Back」「Let It Be」をずっと聴いてきたので、
>>青盤の2曲にも抵抗あるなあ。

この2曲について
気になりましたので、研究目的(←邪道)で購入したりレンタルした
次の版のテイクを並べて聞き比べしました。
1.青盤 2.フィル盤 3....Naked 4.アンソロジー3
結果、「フィル盤」の勝利でした。特に「Let・・・・」な2番目の
サビの2コーラス目でブラス隊がワッと入ってくるところの
盛り上がりは絶対にはずせないと思いました。
「Get Back」については「アンソロジー3」収録テイクは
屋上ライブそのままだそうで、これは結構よかったです。

>>つい若い世代に余計なネタを
新しく編集した「ジュエル」というベスト盤は100万枚突破した
そうですね。これを購入された1%の方でいいので、これからも
クイーンを聞き続けてほしいと思います。ロックファンが
10,000人も増える計算になります。

投稿: モンスリー | 2004.05.08 22:42

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