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聴いてない 第20回 キッス

聴いてないシリーズも、脈絡もなく続けて20回。
「じゃあいったいオマエは何を聴いてたんだよ」と言われそうですが。
ともあれキッス、目的意識を持って聴いたことのないバンドです。

しかしながら実は「リアルタイムでかなり聴かされた」というのが正解。
3歳上の姉は中学生の頃からすでに洋楽にはまり、中でもキッスは相当お気に入りだったようだ。
はまり初めの頃はベイシティ・ローラーズなんかを聴いていたのだが、いつの間にか方向転換。
部屋中キッスのでかいポスターであふれ、アルバムはどんどん買い、日本公演も何回か行っている。
小学生だった自分は、自分専用の部屋はおろかプレイヤーやラジカセすら与えてもらえず、しかも姉に貸してももらえず、AMラジオで欽ドンなんかを深夜寂しく聴くという地味な生活を送っていた。

その反発もあったのだろう、さすがに小学生から洋楽にはまるということにはならず、姉の上品とは言えない趣味を極めて冷ややかに眺めていた。
で、そんな弟の苦悩をよそに、姉は大音響でキッスをかけるわけですね。
いやでも覚えてしまいましたよ、「デトロイト・ロックシティ」「ハードラック・ウーマン」「ラブ・ガン」「悪魔のドクター・ラブ」「いかすぜあの娘」(なんちゅう邦題)・・・。

遅れること3年ほどで自分も洋楽に目覚め、多少姉の影響を受けつつ知識を蓄積していくわけですが、キッスは全然聴こうと思わなかったですねえ。
家にアルバムが相当あったから、聴こうと思えばいつでも聴けたのですが。

今思うと姉の方が守備範囲は広かったのではないかとも思う。
チープ・トリックを見に行って「At Budokan」を実体験してますし、パープル・レインボーからELP・イエス、PILにアース・ウィンド&ファイアーなんかも聴いてたはずである。バラバラだ。
節操ないとも言えますけど。
ビギナーな自分がエアチェックで知ったアーチストについて、「姉ちゃん聴いたことある?」と聞くと、すでにテープを持ってたりすることがよくあった。

自分はほぼ80年代からのリスナーなので、どちらかと言うとキッスは全盛を過ぎていたように思う。
メイクや火吹きだって何年もやりゃ飽きられますわね。
他におもしろいアーチストは山のようにいて、後追いでキッスを聴いてみようという気には全然ならなかった。
たぶん当時の自分にとっては、「過去のバンド」という位置づけだったのだろう。

つい最近テレビでキッスの昔のライブ映像を見た。
オーケストラをバックに「狂気の叫び」を歌い演奏するキッス。
よく見ると、オーケストラもみんなメイクをしている。
こういうのはヘタなプロモ・ビデオよりもずっとおもしろい。

番組ではライブの他にも、現在の(素顔の)ジーン・シモンズのインタビュー映像も流れていた。
ジーンは「クスリにおぼれるヤツはバカだ。オレはやらなかった」など、至極まともなことを仏頂面で語っていた。
メイクがないと本当にただの「コワイ顔のおとっつぁん」である。
ポールは顔の形や目に特徴があるので、素顔でもポールだとわかるんですけどね。
そういえばジーンて人はキッスやる前は学校の先生をしてた、という話を聞いたことがあるのだが、本当だろうか?

その後メンバーチェンジもありながら、80年代90年代もそれなりに活動を続けてきたキッス。
キッスは明らかにパフォーマンスを楽しむバンドである。
アルバムを聴きなおすよりも、DVDで見直す方がおもしろそうだ。
まあおそらくCD買って聴きなおすことはしないだろうが、テレビで特集なんかやったら、たぶん最後まで見てしまうと思う。


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聴いてない 第19回 スティービー・ワンダー

ソウルやヒップホップやラップなど、ブラック・ミュージックは根本的に壊滅状態の自分ですが、スティービー・ワンダーはこんなカテゴリーに関係なく広く親しまれているアーチストである。
が、実は通して聴いたアルバムは1枚もない。
聴いてないのはさすがにまずいかなあ?と後ろめたい気にさせるアーチストだ。(じゃ聴けよ)

「Ebony And Ivory」「Part-Time Lover」「I Just Called To Say I Love You」など、80年代に流行った曲はいくつかエアチェックしたが、ねらったわけではなく、たまたま録音できたのを捨てなかった、という程度。
ただCMやカバーなどで耳にすることも多いので、他にも少しは知っている曲はある。
最近は平井堅がカバーしてますよね。

自分にとってのスティービー・ワンダーと言えば、USA For Africaでの活躍は記憶に残るところである。
スティービーは、表現において対極的なブルース・スプリングスティーンと対になる形でソロパートを歌っていた。
ロバート・パーマーの息子は、「We Are The World」のメイキングを見て、ブルース・スプリングスティーンのパートになったとたん、「パパ、この人どうしたの?」と言ったそうだ。
鋭いね、ロバートジュニア。
以前も書いた話だが、あのイベントではやはりブラック系の人たちの歌のうまさが際だっていた。
メドレーで歌うとその差は歴然である。

全く関係ないが、この頃のFM雑誌に載っていたスティービーの記事に「ダリル・ホールより年下!」などという記述があった。
今風に言えば「へぇ~」というところ。
だからなんだよ、という気もするけど、キャリアの割に若いと言いたかったんだろう。
引き合いに出されたダリル・ホールも気の毒ですが。

他にはボブ・ディランのデビュー30周年コンサートに出演したことを覚えている。
スティービーは「風にふかれて」を歌っていた。
この模様はNHK地上波で見たが、スティービーは番組のトップだった。
ディランの声はあまり好きではないが、スティービーが歌うといい曲に聞こえる。

歌もうまいし、曲もいい。でも聴いてはいない。
あえて聴いてない理由を言えば、「物足りない」という言い方になるだろうか。
聴いてもいないのに物足りないも何もないのだが、基本的にロックは少し変な人たちがやる音楽だと思うので、「さあみんなで歌おうよ」的なイメージが先行するスティービーの音は、ヒネた自分からすると、やはり物足りないということになるのだろうか。
かと言ってむちゃくちゃハードなロックが好き、というワケでもないのですが。
今風に言えば「癒やし系」なスティービー・ワンダー、聴くとしたらやはりロック・オムニバスの中で一息つくような曲順で聴きたいといったところです。
これだけのキャリアなので、もしかするとハードなナンバーというのもあったりするんだろうか?

今思いついたのだが、スティービーは誰の色にも染まらない印象だが、ちょっと変わった人とユニットを結成する、というのはどうだろうか。
ということで、突然ですが少し考えてみました。
あくまで自分のイメージのみで考えてるんで、お気に召さない場合はご容赦下さい。

・エリック・クラプトン
これどうです?違和感ありませんよね?
実際何度かステージで競演もしとるはずだし、アルバム出したら売れるんじゃないかな?

・リンゴ・スター
これもいいですね。二人ともおだやかな声なので、いけると思います。

・ミック・ジャガー
うーん・・デュエットも初めはいいが、後半はお互い違う曲になっていくような・・

・ジミー・ペイジ
カバペーの上を行くレアなユニットに、双方のマニアから大受けか?
・・・・勝手に考えておきながらナンですが、これはダメかもしれない・・

キリがないのでこのあたりでお開き。
いずれにしても聴いてないスティービー・ワンダー。
聴くとしたら、そうですね・・少し昔のナンバー、70年代の曲を聴いてみようかと思います。


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聴いてない 第18回 ライオット

ライオットは、自分の守備範囲の狭さから言えば聴いてなくて何の不思議もないのだが、聴いてない以前の問題があったバンドである。
「全然知らなかった」のだ。

ライオットを知ったのは7~8年前、FROCKLのHR/HM部屋である。
ライオットについて書き込まれたツリーを見て、「なんだこのライオットってのは?」と思い、質問してみた。
例のごとくFROCKLはオトナ掲示板なので、ド素人の自分にも複数の人が親切に教えてくれた。
70年代末にデビューし、アルバムも結構出ているとのこと。
うーん・・・リアルタイムのはずなのに、なんで知らないんだろう?

まぬけな自分は「クワイエット・ライオットと関係ありますか?」などと素人上塗りの質問をかまし、「全く別のバンドですよ」というオトナ回答をいただきました・・
質問したのがFROCKLでホントよかったス。

それでも知らなかったことに今ひとつ納得できなかった身の程知らずの自分は、HR系の好きな知り合いの女性に「ライオットって知ってる?」と聞いてみた。
この時点でもまだ恐ろしいことに「まあオレが知らないくらいだからよっぽどのマニアが聴いとるんだろ」程度に考えていたのだ。
ところが彼女の返事は「知ってますよ。よく聴きます。コンサートも行きました」だった。
・・・・マジすか?

日本にも来たことがある?
「Narita」なんて曲まである?
マーク・リアリ?聞いたことない・・・

このあたりで事態の重大さに気づいたあたしは、またしても市立図書館へ。
ありましたよ、何枚かCDが。
ウチの近所の図書館なんて、CDのラインナップもシケた(死語)もんですけど、それでも置いてあったライオット。
アルバムジャケットも、ゴマちゃんが斧持ってたり相撲のカッコしてたり、とても変わってる絵なんだけど、これにも全然見覚えがなかった。

だいたひかるじゃないけど、どうやら私だけ?知らなかったのは。
自責の念に苛まれつつ、「The Brethren Of The Long House」を借りて聴いてみました。

結論から言うとハマるような音ではなく、他のアルバムは未だに聴いてない。
「なんかレインボーに似てる気がする・・」と思ったのだが、聞けばマーク・リアリはリッチー信奉者とのこと。
たまたまそう思っただけなのだが、なんか「当たった」ような気がして多少安心した。
結局「知らなかった」ことを挽回するくらい聴きまくる、という方向には行きませんでした。

というわけで、聴いてなかったことより、知らなかったことの方がずうっとショックだったライオット。
もちろんハードロックにもメタルにも疎いから、知らなくて当然なのだが、「聴いてなくても名前くらいは知っている」にも該当しなかったのは、けっこうショック。
ミュージックライフだって毎月読んでいたのに、なんで知らなかったんだろう?
やはり「普通は知ってるだろ」という位置づけなのでしょうか・・?


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聴いてない 第17回 ELP

今回はエマーソン・レイク&パーマー。久々にプログレに戻って来ました。
キング・クリムゾンのように全く知らないというレベルではないのだが、まあ聴いてないレベルです。
オリジナルアルバムは1枚も聴いてません。

ただしELPについては、かなり目的意識を持って取り組んだ実績がある。
10年くらい前のある日、「プログレという分野にもアプローチしてみよう!!」と突然思い立って、市立図書館にCDを借りに行った。
毎度毎度レンタルってのがホントに情けないけど。しかもこの時は図書館。無料。
借りたのは「ベスト・オブ・ELP」。
ベスト盤から入ろうとしてたところがド素人丸出しで泣かせますね。

「プログレは難しい」「ヤバイ」「怖い」など、様々な先入観に毒されていたので、初めて聴く時はかなり緊張した。
で、聴いてみた感想。
「・・・・なんか普通のロックと変わんない・・」
そう、プログレに対して過剰に構えすぎていたので、実際にELPを聴いたら案外普通の音楽だったので、少し拍子抜けしたのだ。
エイジアほどの大衆度はないが、ピンク・フロイドのような難しい音でもないと思った。
ベスト盤だったからだろうか。
拍子抜けはしたが、印象に残った曲も特になかった。

まあいい曲もあればそうとも思えない曲もあって、「よおしこれからアルバムをばんばん借りまくるぞう!」(原田宗典調)といった心境にはならなかった。
というわけでELPについてはベスト盤を借りただけで、それっきりになってしまった。
ダビングしたテープもいつの間にか紛失。
たぶん気づかないまま違う音楽を上書きしたんだろう。
聴いてみようと決意したわりには全然自分に定着しなかったですねえ。

キング・クリムゾンの巻でも書いたが、実はエイジアは結構好きである。
ファーストアルバムからリアルタイムでもあったし、メンバーに関する予備知識や情報もさほどないまま聴いていたので、80年代に流行った産業ロック((C)渋谷陽一)のひとつとして純粋に楽しんでいた。
実はプログレ界の大物が集うバンドだと知るのはもう少し後だ。

ジョン・ウェットンの危なっかしいボーカルも好きだし、アルバムジャケットもSF映画のようでなかなかよい。
チャートを結構賑わしていたし、日本公演もあったはずだ。
このあたり商業ベースに傾倒しすぎたエイジアについては、古くからのプログレファンには評判の悪いこともあったに違いないと思っているのだが、いかがでしょうか?
ELPもエイジアも両方いけるというヒトはいるのでしょうかね?

その後ELPはエマーソン・レイク&パウエルになったりするのですが、このパウエル時代ってのはどう評価されとるんだろうか?あと、その間カール・パーマーは何をしてたんでしょうか?
聴いてないからよくわからないのだが、コージーとプログレってのは住む世界が違うんじゃないかと思ったのですが・・
このへんはプログレファンとコージーファンの両方から意見を聞いてみたいもんです。


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聴いてみた 第0回 Let It Be ・・・ Naked

本来は「聴いてない」シリーズの後日談として「聴いてみた」シリーズがあるべきですが、まあいいや。
遅ればせながら、ようやく聴いてみました、ネイキッド。

発売前から今に至るまで、世界中のファンやら評論家やらマニアやら一般人まで、無数の評論が発表されているだろうことは想像に難くない。
なので、今更自分のような偏差値の低いリスナーの感想など、発表すること自体が資源のムダづかいのようにも感じますが、思うところをしたためてみます。

自分が購入したのは輸入盤。
どこの国のかはわからない。
値段は500円。
中古ではなく、バーゲン品である。
先日出版業界の展示会があったのだが、その会場で洋書バーゲンも行われており、CDも少しだけ置いてあったのである。

他にクイーンのベスト盤やノラ・ジョーンズなんかもあったが、1500円だった。
なぜかネイキッドだけ500円。
間違いか?とも思ったが、値段につられて買ってしまいました。
発売から半年ほどたったとはいえ、ネイキッドが500円。
ラッキーとは思ったけど、なんとなく寂しいよなあ。
500円で買っておいてそういうこと言うなって。

で、おうちに帰って聴いてみた。
雑誌やらネットやらで一通りの知識は入っていたのだが、「音がクリアで・・」「ポール積年の望みだった再編集がついに実現し・・」だのといった、見てきたような感想をもらす評論にもいささか食傷気味だったので、とにかく自分の感性で聴くことだけ心がけた。

とりあえず石でも飛んで来そうな気配もありますけど、言ってもいいかね。
「・・・・フィル・スペクターって、やっぱスゴクない??」

自分はビートルズ完全後追い世代ですけど、フィル盤(と呼んでいいのか知らんけど)は何度も聴いている。
「Abbey Road」「Sgt.Pepper's」を含めた3枚が、たぶん一番聴いているアルバムだ。
歌って演奏してるのはビートルズなんだから、彼らがスゴイのは言うまでもないよね。
ただ「Let It Be」のころ4人の歩調はバラバラで、アルバムとしてもまとまりに欠けるという評価が一般的だったりするらしい。
そんな曲をかき集めて編集し、商品として聴ける水準に持っていこうとしたのが、フィル・スペクターだという話。

全曲のうちどのあたりがフィルの仕事による成果なのかよくわかりませんけど、「The Long And Winding Road」の大げさなコーラスやらオーケストラやらが、フィルのしわざなんでしょ?
いいと思いますけど。
つーか、ネイキッドのほう、正直物足りないス。

「Get Back」にしても、ジョンの適当な替え歌にはじまり、最後に「これでオーディションは通ったかな」というジョークで終わるというところがいいと思うのです。
皮肉にもそれが本当のビートルズの終了宣言になってしまったことも含めて、オリジナルの方には味わいがあるんじゃないかなあ。
ネイキッドの方は突然始まっていつの間にか終わっていて、ドラマが感じられない。
しかも1曲目・・・

オリジナル盤で、「Get Back」を編集したりラストに持ってきたのはフィルじゃないんですかね?
ちなみに曲自体と、ジョンの替え歌とジョークの部分は、音源は別だそうですね。
曲の前後にルーフトップライブでの音をつなげて編集したということですけど、これってすごい秀逸なセンスだと思います。

もちろん音質自体はネイキッドの方がいいだろうし、まだ1回しか聴いてないから、ネイキッドのよさがわかるのもこれからだけど。

「Two Of Us」の前のジョンのやや品のない言葉、「Dig It」「Maggie Mae」といったお遊び曲、こうした猥雑さがオリジナル盤の魅力でもある、ということを、ネイキッドによって改めて認識した次第。
「自分の感性で」などと言ってはみたが、結局フィル・スペクターのどっぷり産業デザインに毒されている(言い過ぎ?)と言えなくもないですけどね。
もしそうだとしても、そんな自分の感性が嫌いではないと、自信を持って言うことにしよう。

さて、本稿を書くにあたって、一切参考にしないことを心がけた文章がある。
このblogでも何度か紹介しているが、友人のミュージシャンいしはらが、ネイキッドに関して綴ったものだ。
自分のような薄いリスナーでは到底考えつかない独自の説を展開しているので、ぜひご一読下さいませ。


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