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聴いてない 第10回 ニール・ヤング

友人のミュージシャンいしはらは、ニール・ヤングについて熱く語る。
彼曰く「ニール・ヤングはロックの北京原人だ」そうだ。
ほめてんのかけなしてんのかわからない表現だが、彼はニール・ヤングが好きで来日も楽しみにしていた。
ところが自分は聴いてないので、その想いは共有できない。

とにかく聴いてないんで当たってないかもしれないけど、ニール・ヤングって「ロックのヒト」というより、フォークに近い人じゃないかと思うのですが、どうなんでしょう?

聴いたことがあるのは「All Along The Watchtower(見張り塔からずっと)」「Like A Hurricane」くらいである。
「見張り塔」はボブ・ディラン30周年コンサート、「Like A Hurricane」はMTVのアンプラCDである。
よく考えると、どちらもライブ演奏だ。

聴いてない理由と言えば、「好み」につきる。
あえて書き記すほどの理由ではないのだが・・・

理由その1。
・声質があまり好みでない
このヒトの声って、キーは高いけど「さわやかな歌声」というわけではないですよね?
表なのか裏なのかイマイチよくわからないのだが、要するに「うまい」方ではないと思うのですが。

理由その2。
・ある曲についてイメージが異なっていた
これだけだと何のことやらさっぱりわかりませんわね。
少し長くなるけど、まあ聞いてやってくれ。

もうタイトルも作者も思い出せないんだが、ある漫画で、ニール・ヤングの歌をモチーフに使ったものがあったのだ。
それを曲を聴く前に読んでいて、結構かっこいい場面で使われていたので、「どんな曲なんだろう・・・」と漠然と期待感を持っていた。

漫画のストーリーを文章で表すなどヤボ(死語)の極みだけど、まあいいや。

ある売れないバンドのリーダーであるドラマーは、双子の美人姉妹を口説き落とそうとしていた。
その日もバンドが出演するビアガーデンに双子を呼ぶのだが、双子はそろってドラマーを軽くあしらい、ドラマーのプライドも崩れかけていた。
おまけにバンド出演はビアガーデン側から当日で打ち切られることも告げられ、台風も近づいてきて客もどんどん減っていく。

演奏中も双子のバカにしたような言葉や態度に、ドラマーもだんだん腹がたってきた。
半ばヤケになって演奏も切り上げて帰ろうとした時、後輩のギタリストが台風でますます強まる風を受けながら、「センパイ、何か感じないか?」とドラマーに問う。
ドラマーも感じるものがわかったらしく、最後の曲を急遽変更することにした。

ここから場面はクライマックス。
ドラマーはビアガーデンの支配人に残りのギャラを現金で支払わせ、仲間に告げる。
「ラストナンバーは決まったな!」
そして双子に向かって言う。
「神通力を見せてやる。いくぞ!」

そして演奏したのが、「Like A Hurricane」であった。
バンドの神通力が風とともに客を圧倒。
それまでのさえないドラマーの突然の変わりように、双子も声が出ない。
バンドは演奏を終え、双子も含めた大歓声の中を颯爽と引き上げる。

アパートに戻ったバンド連中に、双子から電話が入る。
ドラマーは電話に出ず、後輩に電話をとらせる。
電話を切った後、後輩はドラマーに言う。
「双子からだった。電話してくれって」
ドラマーは高らかに笑い、「電話なんかするもんか!」
そして最後のセリフ。
「俺の勝ちだ!」

・・・・この漫画は、いったいいつ頃のものだったか思い出せないくらい前の話である。
なぜか印象に残っており、「Like A Hurricane」もこの漫画で知ったのである。

で、実際に曲を聴いてみたのだが、この漫画のイメージとは全く違う音だった。
あの漫画での使われ方からすると、アップテンポなハードロックを想像していたのだ。
勝手にイメージしてた自分がいけないんですけど、かなりのギャップになんかがっかり。

あ、「Like A Hurricane」自体は悪くはないと思います。
ただもうちょっとかっこいいナンバーかと思っていたので・・・・
結局今に至るまで、他の曲を聴いてないのだ。

こんな理由で勝手に遠ざけられて、ニール・ヤングもいい迷惑だろうけど、なんとなく続きを聴いてみようという気がおこらないのである。
アップテンポでハードな曲もあったりするんでしょうか?

追記:その後この漫画についてネットで調べたところ、これは「迷走王ボーダー」(狩撫麻礼&たなか亜希夫、双葉社)という作品であることが判明。
自分と同じようにこの漫画で「Like A Hurricane」を知った人もいるようです。


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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。私もニール・ヤング、聞いていません。
といいますか、何度か挑戦しましたが、どうしても好きに
なれませんでした。
昨年秋に「幻の名盤」と言われている「渚にて」が初CD化
されましたので聞きましたが、今ひとつしっくり来ません
でした。SYUNJIさんのおっしゃる通り、好みの問題も大きい
と思います。

>>アップテンポでハードな曲もあったりするんでしょうか?
この点ですが、最近の評論をみておりますと、若手のグランジ、オルタナ
系の教祖として見られているようです。ステージでも轟音勝負の
時があるそうです。

ところで、ヤングが在籍していたクロスビー・スティルス・ナッシュ
&ヤングの「デジャ・ヴ」を聞きましたが、これは非常によかった
です。個性の強い4人の曲が混在しており、ヤングの曲も
存在感を発揮しています。昔聞いたときはさっぱりわかりません
でしたが、今聞くと見違えるようによかったです。
また手元に、そのヤングとスティルスが在籍していた「バッファロー・
スプフィングフィールド」もありますので、これもいずれじっくり
聞いてみようと思います。

##話がそれますが、ニール・ヤング級で未だCD化されていないアルバム
があったということは驚きでした。音楽産業の行く末が本当に
心配です。

投稿: モンスリー | 2004.03.08 23:01

getsmart0086です。

僕もSYUNJIさん同様、ニール・ヤングはフォークのイメージです。何故って、
(1)声量がない
(2)声がセサミストリートのマペットみたい
(3)音程がちょっと不安定
(4)小汚い
から。
(4)はよいとして、(1)と(2)はロックではちょっといけてないと思うんです。

こんな事を書きましたが、実はフォークの人ニール・ヤングは好きなんです。アルバムも「After The Gold Rush」、「Harvest」、「Silver & Gold」の3枚を持ってます。特に「After The Gold Rush」は大好きなアルバムだったりします。フォークにはあの声はピッタリくるんですよね。

ただ、ジャームッシュ監督の映画「デッドマン」の音楽は、ニール・ヤングのギターが冴え渡っており、これを聞けばSYUNJIさんもロックな人ニール・ヤングが実感できるかもしれません。
何故って、轟音ギターインストだから。ニール・ヤングのための映画ではないかと思うくらい、かっこいいです。

投稿: getsmart0086 | 2004.03.10 23:22

>ニール・ヤングはロックの北京原人だ
“言いえて妙”ですね。

私はニール・ヤング大好きです(最近のは聴いてませんが)。
ヘタウマなあの寂しげな感じがたまらない、そしてワイルド。
日本人には演歌、黒人にはソウルそしてニール・ヤングはアメリカ白人労働者の歌だと思ってます。仕事の後にビール飲みながらニールの歌を聴いてるのかな~なんて想像してます。

「しょぼくれたオヤジがか細い声で情けなく歌う」ととるか「野性味あふれた男が心の内をせつなく歌う」ととるかは聴く人次第。
『ハーベスト』の「ハート・オブ・ゴールド」なんかいい曲だと思うのですが、『デジャ・ヴ』(CSN&Y)を聴いたらニールの「ヘルプレス」より「僕達の家(Our House)」の方が好みかもしれませんね。

「ライク・ア・ハリケーン」ってロックだと思うんですけど…

投稿: hello nico | 2004.03.11 02:19

皆さまコメントありがとうございます。
それぞれのニール・ヤング感が出ていて興味深いです。

ただモンスリーさんの「グランジ・オルタナの教祖」説には驚きました。そんな話があったんですねえ。
何も考えずにニルヴァーナの次にニール・ヤングを持ってきたんですけど、実は師弟関係だったとは・・・(違うっつうの)

「ヘタウマ・不安定・小汚い」は共通する感想ですが、そこから先は皆さんの好みになる、ということですね。

投稿: SYUNJI | 2004.03.13 18:54

まさに好みだと思います。ただ、ライブはかっこいいと思います。日本公演もみちゃった自分としては!Live Rustこれだけでもいいです。聞いてみてください。

投稿: マルチオーディオ | 2004.04.23 18:05

SYUNJIさん、こんばんは。TBどうもありがとうございました。
ふふ。楽しませてもらいましたよ。
実は私は3枚しか聴いてません(笑)。
初めて『Harvest』を聴いた時、駄目だーとか思ったので気持ちがわかります。
その後の『After The Gold Rush』はすごく好みでそしてまた初心に戻り
『Harvest』を聴いてみたらあー、いーかもー♪
そして『On The Beach』は直撃でした。これはすごく好き。

ほんと、好みでしょうね。そう思います。

投稿: 祥之介 | 2004.12.23 19:45

祥之介さん、コメントありがとうございます。
このエントリを書くまでは、ニール・ヤングってのは男のファンが多いんだろうと勝手に想像していましたが、思ったより女性の方も聴いておられるんですね。

ご覧のとおり自分は聴いてないもんで、祥之介さんのエントリにコメントするのもおこがましいと思い、こっそり?TBさせていただきました。
半年ほど前のエントリですが、結局未だに聴いてないんですけどね、ニール・ヤング。

投稿: SYUNJI | 2004.12.25 00:41

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