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聴いてない 第13回 プリンス

お待ちかねプリンス。
一度「元プリンス」になって、最近はまたプリンスに戻ったらしいですけど、どっちにしろ聴いてません。
この「聴いてない」シリーズを始めた頃は、聴いてないことに非常に後ろめたさを感じていたもんだが、皆さんの反応も意外に同じく聴いてなかったりして、最近はだいぶ精神的にも図太くなってしまった。
「すいませんプリンスは聴いてないんです・・」というより、「ええ聴いてません。それが何か?」という高慢な態度をとってしまいそうな感じである。
プリンスの場合、「結構聴いてた」人と「全然聴いてない人」とにはっきり分かれるのではないだろうか。
「んーまあボチボチ聴いとったよ」という人は少ないと思うのだが・・

最初にFMでエアチェックしたのは「When Doves Cry」である。
この曲がどうして「ビートに抱かれて」っつう邦題になるのかさっぱりわからないけど。
「鳩が鳴く時」だと売れないんでしょうか。売れねえか、そんな70年代フォークみたいなタイトルじゃ。
てっきりこの頃に登場した新人だと思っていたら、70年代末期にはすでにデビューしてんのね。
さっきまで知りませんでした。
後は「America」をエアチェックしたくらいで、大ヒットアルバム「パープル・レイン」や「バットマン」も結局聴かなかった。

その昔とんねるずの「みなさんのおかげです」で、ノリオの学園コントのコーナーが好きでよく見ていた。
先生役の石橋が生徒役のチェッカーズを前に、「今日からみなさんの担任となりますー」と言って黒板に「苗場」と書き、振り向きざま「プリンスです」というギャグがあった。
プリンス本人とは何の関係もない話ですけど。
今回はこんなネタしかありません・・・

聴いてない理由。
・趣味でない
とりつく島もありませんが、まあそういうことです。
まずビジュアル的に敬遠したくなるところであり、黒人にしては軽い声も好みではない。
特にシャウトはどーもいただけません。
「パープルレイン」のシャウトは鳥小屋のように聞こえてしまい、エアチェックもしなかった。
「ビートに抱かれて」もなんつうかダンスともロックとも違うような、いまいち盛り上がらない感じで、マスコミが騒ぐほどのめり込むものはありませんでした。

プリンスはちょうどマイケル・ジャクソンと同じ頃にブレイクしたので、何かにつけマイケルと比較され、タイミングとして不利だったかもしれない。
当時の雑誌などでも「良い子マイケル・悪い子プリンス」といったステレオタイプなイメージでの紹介記事が多かったような気がする。
実際にはマイケルの方が相当悪い子だったらしいことが、最近明らかになってますけどね。

話によればバングルスの「Manic Monday」はプリンスの作品とのことだ。
この曲は好きである。
日本でもかなりヒットしたはずだが、もしプリンス本人が歌っていたら、たぶんバングルスほどのヒットにはならなかっただろうね。

プリンスはメジャーなアーチストの中ではおそらく世界で初めてネットで音楽販売を手がけたヒトなんだそうだ。
芸術作品である音楽の版権が、販売以降は全てレコード会社に移ってしまうという業界のあり方が気に入らなかったらしい。

このようにポップな曲も作れるという意外な才能を携え、自己の芸術性についても確固たる自信を持つプリンス。
最近の活動には全くうといが、その後活躍はしとるんでしょうか?
良くも悪くも、話題性においてどうしてもマイケル・ジャクソンに遅れをとってしまうプリンスですが、皆さんの評価はいかがでしょうか?


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聴いてない 第12回 リンゴ・スター

これまでいろいろ聴いてないアーチストを白状してきましたが、今回はさすがに聴いてないのがイヤになるほどの大物です。
リンゴのソロですけど、全く聴いてません。
まあジョージもほとんど聴いてないんですけど。

ビートルズの曲の中でも、リンゴのクレジットやボーカルは極端に少ないし、ソロになってからもセールス的には3人とは比較にならんのは異論のないところだろう。
これが聴いてない理由そのまんまである。
結局「売れてるから聴く」っつう主体性に欠けたリスナーなので、どうしてもこうなるわけですね。

その昔NIFTYのFROCKL(ロック・リスナーズ・フォーラム)のチャート・ポップス部屋に出入りしていた時、ごま蛙さんという方が、毎週アーチストを10人ずつあげて、参加者による人気曲投票をやったことがあった。
この企画はとてもおもしろく、毎週投票するのが楽しみで、当時はビジネスアカウントだったのだが、会社からせっせと投票していました。2年くらい続いたと思う。どなたか覚えておられますかね?
最後に私は全投稿を独自に集計しExcelでデータベース化してライブラリにアップまでしました。

で、ビートルズの4人についてもお題目として当然あがったのだが、リンゴ・スターの曲は投票できなかった。
その時「そういやリンゴの曲って聴いてねえ・・」と思い知らされたのです。(思い知ってなお聴いてませんけど)

これまで様々なメディアを通じて、よく語られてきた話として、リンゴは4人の中で最もお友達が多いというものがある。
確かにオールスターバンドを引き連れて世界中を何度もまわるなんてのは、リンゴしかしてこなかった。
奇才ジョン・天才ポール・名工ジョージの間にあって、リンゴはいわば「常識の人」なのだろう。
例えばジョンが会社とか町内会にいたら、トラブルは相当多いんじゃないかと思うが、リンゴだったらそんなことはないような気がするのです。

ロックバンドという芸術表現集団にあっては、リンゴに代表される「人格者」が実はものすごい実力者だったりするのではないだろうか。
この場合の「実力」は「音楽的才能」と同義ではなく、集団行動の企画・運営における才能を含む、という意味。

ストーンズの場合はチャーリー、パープルだったらイアン・ペイスか?
お、ドラマーが多いな。ドラマー=人格者なのかな?
とするとツェッペリンはボンゾなのだが、真っ先に体壊して死んでるしなあ。人格者とはちょっと違うような気がする。
クイーンの場合は間違いなくジョン・ディーコンだ。ベーシストだけどね。
やっぱバンドって形態を維持するにあたっては、それなりの役割があって機能するってことなんでしょうね。
4人全員がジョンのような人たちのビートルズじゃ、絶対長続きしなさそうだし。

文字どおり「お友達の助けをちょいと借りれば」すごいことができるリンゴ。
オールスターバンドのメンツは、その辺のイベントじゃあ到底集められない人ばっかで、せめてこのあたりのアルバムだけでも聴いた方がよさそうだ。

音楽の好みを他人と比較するのはナンセンスですが、実際「リンゴも聴いてるよ」ってのは「当然」「常識的」なことなんでしょうかね?
少なくとも自分のまわりで、これまで「オレ、リンゴはずっと押さえてるぜ」ってヤツはいなかった(と思う)。
他の3人についてはもちろんいましたよ。
こんなあたしだって、ポールはそれなりになぞって来てはおりますし。

あとアタシは楽器もやらないんで、リンゴのドラマーとしてのスゴイ部分てのもなかなかわかりません。
ギターだと「この音はクラプトン」「このはずれ方はペイジ」(失礼)などとわかったりするんでしょうけど、「このスネアはやっぱリンゴ」なんてわかるもんでしょうか?

いずれにしても、聴いてないリンゴ。
みなさんのリンゴ感、ぜひお聞かせ下さいませ。


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聴いてない 第11回 ドアーズ

今から20年近く前だが、エアチェックもゆきづまってきた頃、「ビッグアーチスト鑑賞強化月間」を自分で決めて、それまで聴いてこなかったアーチストや名盤を聴くことを試みたことがある。
(当然レンタルでですけどね)

聴いたのは以下である。
・レッド・ツェッペリン
・イーグルス
・ボズ・スキャッグス
・エルトン・ジョン
・ジョン・レノン
・サイモン&ガーファンクル
・10CC
・ドアーズ

このうち、結局聴き続けることができなかったのは、ボズ・スキャッグスと10CCとドアーズである。

結局聴き続けなかった理由その1。
・音に少し飽きた
感覚的にはそれほど受け容れ難い音ではない。
「ハートに火をつけて」の印象的なキーボードや、ジム・モリソンのぬるいボーカルなど、嫌いではない。
が、ファーストを通しで聴いていて、キーボードの音にいささか飽きが来た。
「もう少しバリエーションがあれば・・・」などと思った。

理由その2。
・やっぱ暗い
陽気で明るく開放的なウェストコーストにあって、唯一闇の世界をつき進んだドアーズ。
といった情報を仕入れて聴いてみたのだが、評判どおりやっぱ暗かった。
「Arabama Song」など暗くはない曲もあったが、「陽気」とはほど遠いこの人たちの音。
いまいちクスリっぽくて、やはりどうも聴いてて楽しくはなかった。

理由番外編。
・映画がつまんなかった
これはオリバー・ストーン監督の「ドアーズ」のことではない。(これ見てません)
ドアーズを初めて知ったのは「地獄の黙示録」によってである。
映画が公開された当時、「The End」はFMでもけっこうかかるようになった。
ただし映画を実際に見たのはテレビになってからである。
「The End」が使われたのは知っていたので、オープニングはよく覚えている。

・・・・で、あたしゃ映画についてはホントに見ないクチなんで、語る資格なんか全くないのは承知の上で言いますけど、「地獄の黙示録」って、あれなに?どこがおもしろいの?

ええ、確かに見た条件は最低ですよ。
当時高校生でアタマも悪く、ビデオに録画したヤツを後で見たし、CMブツ切れ・飯食いながら・夜中に一人・つまんない場面は早送り。
こんな見方であの映画語っちゃいかんのでしょうけど、正直、全っ然意味がわからなかった。
何がテーマでどこが見所なのかよくわからんうちに終わってしまい、「録画なんかするんじゃなかった・・」と後悔までしてしまいましたよ。

結局この映画で記憶に残ったのはストーリーではなく、雑誌に載ってた「拳銃をアタマに当てているコッポラの顔」だったりする。
監督が死にたくなるくらいヤバイ映画だったってことですかね。
今見直したら少しはわかるんだろうか。
まあ映画がつまんなかったのと、ドアーズを聴かなかったこととは、直接関係はないんですけどね。

他にドアーズについては、ライブ映像を見た記憶がある。
これも「ベストヒットUSA」だったと思う。
古いライブのためか、カメラは固定でステージのそでからジム・モリソンを写しつづけていた。
「The End」を歌いながら、途中でステージにいた蛾をつかまえ、「これは蛾だ」と言って乾いた笑いをとっていたジムの姿が記憶に残っている。

聴いたアルバムはファーストだけなので、正確には「それ以来聴いてない」。
「聴いてない」ことに変わりはないのだが、一度アルバム通しで聴いて、飽きてるからなあ。
もう一度聴き直す、というのは相当難しそうだ。
セカンド以降もやっぱおんなじようなキーボードとぬるいボーカルなんでしょうか?
あと関係ないけど、「地獄の黙示録」って、おもしろかったスか?(しつこいって)


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聴いてない 第10回 ニール・ヤング

友人のミュージシャンいしはらは、ニール・ヤングについて熱く語る。
彼曰く「ニール・ヤングはロックの北京原人だ」そうだ。
ほめてんのかけなしてんのかわからない表現だが、彼はニール・ヤングが好きで来日も楽しみにしていた。
ところが自分は聴いてないので、その想いは共有できない。

とにかく聴いてないんで当たってないかもしれないけど、ニール・ヤングって「ロックのヒト」というより、フォークに近い人じゃないかと思うのですが、どうなんでしょう?

聴いたことがあるのは「All Along The Watchtower(見張り塔からずっと)」「Like A Hurricane」くらいである。
「見張り塔」はボブ・ディラン30周年コンサート、「Like A Hurricane」はMTVのアンプラCDである。
よく考えると、どちらもライブ演奏だ。

聴いてない理由と言えば、「好み」につきる。
あえて書き記すほどの理由ではないのだが・・・

理由その1。
・声質があまり好みでない
このヒトの声って、キーは高いけど「さわやかな歌声」というわけではないですよね?
表なのか裏なのかイマイチよくわからないのだが、要するに「うまい」方ではないと思うのですが。

理由その2。
・ある曲についてイメージが異なっていた
これだけだと何のことやらさっぱりわかりませんわね。
少し長くなるけど、まあ聞いてやってくれ。

もうタイトルも作者も思い出せないんだが、ある漫画で、ニール・ヤングの歌をモチーフに使ったものがあったのだ。
それを曲を聴く前に読んでいて、結構かっこいい場面で使われていたので、「どんな曲なんだろう・・・」と漠然と期待感を持っていた。

漫画のストーリーを文章で表すなどヤボ(死語)の極みだけど、まあいいや。

ある売れないバンドのリーダーであるドラマーは、双子の美人姉妹を口説き落とそうとしていた。
その日もバンドが出演するビアガーデンに双子を呼ぶのだが、双子はそろってドラマーを軽くあしらい、ドラマーのプライドも崩れかけていた。
おまけにバンド出演はビアガーデン側から当日で打ち切られることも告げられ、台風も近づいてきて客もどんどん減っていく。

演奏中も双子のバカにしたような言葉や態度に、ドラマーもだんだん腹がたってきた。
半ばヤケになって演奏も切り上げて帰ろうとした時、後輩のギタリストが台風でますます強まる風を受けながら、「センパイ、何か感じないか?」とドラマーに問う。
ドラマーも感じるものがわかったらしく、最後の曲を急遽変更することにした。

ここから場面はクライマックス。
ドラマーはビアガーデンの支配人に残りのギャラを現金で支払わせ、仲間に告げる。
「ラストナンバーは決まったな!」
そして双子に向かって言う。
「神通力を見せてやる。いくぞ!」

そして演奏したのが、「Like A Hurricane」であった。
バンドの神通力が風とともに客を圧倒。
それまでのさえないドラマーの突然の変わりように、双子も声が出ない。
バンドは演奏を終え、双子も含めた大歓声の中を颯爽と引き上げる。

アパートに戻ったバンド連中に、双子から電話が入る。
ドラマーは電話に出ず、後輩に電話をとらせる。
電話を切った後、後輩はドラマーに言う。
「双子からだった。電話してくれって」
ドラマーは高らかに笑い、「電話なんかするもんか!」
そして最後のセリフ。
「俺の勝ちだ!」

・・・・この漫画は、いったいいつ頃のものだったか思い出せないくらい前の話である。
なぜか印象に残っており、「Like A Hurricane」もこの漫画で知ったのである。

で、実際に曲を聴いてみたのだが、この漫画のイメージとは全く違う音だった。
あの漫画での使われ方からすると、アップテンポなハードロックを想像していたのだ。
勝手にイメージしてた自分がいけないんですけど、かなりのギャップになんかがっかり。

あ、「Like A Hurricane」自体は悪くはないと思います。
ただもうちょっとかっこいいナンバーかと思っていたので・・・・
結局今に至るまで、他の曲を聴いてないのだ。

こんな理由で勝手に遠ざけられて、ニール・ヤングもいい迷惑だろうけど、なんとなく続きを聴いてみようという気がおこらないのである。
アップテンポでハードな曲もあったりするんでしょうか?

追記:その後この漫画についてネットで調べたところ、これは「迷走王ボーダー」(狩撫麻礼&たなか亜希夫、双葉社)という作品であることが判明。
自分と同じようにこの漫画で「Like A Hurricane」を知った人もいるようです。


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ありえない

言葉は生き物であり、常に変化している。
最近、まさにその変化の過程にあると認識した言葉がある。
「ありえない」。

本来は「可能性を強く否定する」場合に使う言葉で、否定を強調したり断言する時に用いるはずだ。
ところが最近のヤング(死語)の間では、驚きや非難、脱力の意味で使われているようだ。
実際CMでも、携帯を会社に置いてきた男に女が「ありえない!」といって去っていく、といったものがある。
どうやら肯定的には使わないみたいですね。

これは少なくとも数年前まではなかった使い方だ。
どこが起源なのかわからないが、世間ではまだ違和感や嫌悪感を覚える方もおられるであろう。
自分もやはり違和感はあり、実際に「驚き・非難」の意味で使うことは、今のところしていない。

「乱れている」と言えばその通りだろうが、勘違いから来る誤用の蔓延ではなさそうだ。
(なので余計にタチが悪いという指摘もありそうですけど)

この現象については、「乱れを遺憾に思う」ことよりも、「今変化の過程にある」という実感の方が大きい。
感動というわけではないのだが、今までに実感したことのない現象ではないか?貴重な体験ではないか?とも思う。
単なる流行語で終わる可能性ももちろんあるのだが、もしかするとこのまま辞書に載ってしまうほど一般化してしまうかもしれないのだ。(本当か?)

これまでの流行語と少し違うのは、言葉そのものの新規発生ではなく、運用のしかたの変化だという点である。
少し考えたのだが、我々の世代でもこれと似たようなことをしてきたのではないか?と思う言葉があった。
「あせった」という言葉である。

言うまでもなく「あせる」の過去形ですけど、「あせる」は余裕がなくなってあわてるとかいらつくとか、そういう「気が急く」状態を言うと思うのだが、我々の世代(80年代のヤング)ではその昔「驚いた」の意味で通用していたのだ。
「目の前で交通事故が起こってあせったよ」
「片思いの人に街でバッタリ会ってあせった」
・・・という使い方。
予期せぬ事態に気が動転した、という場合に使っていたわけですね。
本来の「余裕がなくなってあわてた」というのとは少し違う。
これって、今のヤング(死語。しつこい)はあまり使わないかもしれないけど、どうでしょう?

で、「ありえない」の変化は、こんな「あせった」をはるかに超えていると思う。
「おかしい」「あわれ」だって何百年もたったら意味は変わったのである。
百年後の日本では「ありえない」だってすっかり変わってるかもしれないのだ。

そういう意味で、「まさに今変化しようとしている」「やっぱ言葉って生きてるんだなあ」という実感がわく言葉なのだ。
(とてもバカな感想ですが。)
古くさい言い回しだが、「動向を見守りたい」気分なのである。

・・・・そんなことは、「ありえない」?

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