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エアチェックの夜 20

第20回 フレディ・マーキュリー 2001.11.16


POPS76 1992.1.5

Light Now/Van Halen
Na Laetha Geal M'oige/Enya
Do-ya/ELO
Carry On Wayward Son/Kansas
The Last Resort/Eagles
Dark Of The Sun/Tom Petty & The Heartbreakers
The Fly/U2
The Dream Is Still Alive/Willson Phillips
All By Myself/Eric Carmen
Innuendo/Queen
Only Love Knows Why/Peter Cetera
Black And White/Michael Jackson
Helter Skelter/U2


1991年11月、クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーが亡くなった。
AIDSに罹っていることを公表した直後の死だった。
朝刊でAIDS公表・夕刊で死亡記事などといった日本の新聞もあった。

衝撃や悲しみといったものは正直感じなかった。
「あーあ」という感じである。(どんな感じだ?)
クイーンの曲は好きでたくさん聴いてきたが、ちょうど離れかけていた時期でもあり、また特にフレディのファンというわけでもなかった。

表現者の死は、作品にどんなチカラをもたらすのだろう。
ファンであれば、アーチストの死に対して平常心ではいられない。
遺作に対しての評価は違ったものになってくる。
「もう二度と新作が出ることはない」
この想いが、遺作を傑作に持ち上げることはままあるだろう。

当時の最新作であったアルバム「Innuendo」を聴いてみた。
フレディの死を知った直後だったが、特に感慨もない。
普通のアルバムだと思った。
悪くはないが、「素晴らしい!」とも感じなかった。
ただ、ラストの「The Show Must Go On」は、フレディの想いを暗示させるような名曲だ。
これも普通に「クイーンの新曲」として聴いたら、同じような感想だったかはわからない。

故人に対する批判には、どこか後ろめたさを感じるのが、誰にでも共通してある感覚だと思う。
フレディの死の直後に、「Innuendoは駄作」と評するのは勇気のいることだ。
そんな評論を発表すれば、世界中のフレディファンから突き上げられることは必至だ。
仮に駄作だったとしても、「まあ今は言わないでおくか」という心理がはたらくのは正常な反応だろう。

メディアやファンがこぞって「名作Innuendo」を採り上げ、本国イギリスでは「Bohemian Rhapsody
」がチャートに登場した。
そんなフレディ騒動を、自分はかなり冷ややかに見ていた。
表現者の死と作品の評価は別次元のことだと、その時は思っていた。

「ブラック・レイン」という映画がある。
フレディの死より少し前に公開された映画だが、自分はテレビで92年頃に見たと思う。
映画の見どころは高倉健とマイケル・ダグラスの共演である。
だがもう一つ、松田優作の最後の出演作品という付加価値がついている。
多くの日本人は、このことを知っていて映画を見ていたはずだ。
彼はガンであることを知りながら、ハリウッド映画出演の夢を実現させるために、手術を拒んで渡米し、撮影に臨んだのだ。
この話は当時の主治医や関係者が、多くのメディアで語ったため、憶えている人も多いと思う。

劇中の松田優作の演技は確かに迫力があった。
そして作品の外側にも、彼の死というそれを持ち上げるだけのパワーがあったのだ。
もし松田優作が健在だったとしたら、この映画の評価は違っていたかもしれない。
だが芸術作品はそういう見方だけでは不充分であることに気づいたのが、「ブラック・レイン」だったのだ。
作品は結果であって、通常見るものはそれだけなのだが、作ったのは人間なのだ。
そこに至る過程に、生きた人間の想いや行動が必ず反映されていて、それによって評価が変わることも含めて楽しまなければ、充分な鑑賞とは言えない。
「Inneundo」を冷ややかに聴いた当時の自分には、この感性が全く欠けていたのだ。

また数年たったある日、クイーンのラストアルバム「Made In Heaven」が発表された。
「Innuendo」とは異なり、はっきりとフレディとの離別をテーマとして作られたアルバムだ。
「美しい日」と力強く歌うフレディ。
やはりフレディあってのクイーンなのだ。

表裏のジャケットを見ただけで、ファンなら涙するだろう。
表はこぶしを突き上げるフレディ、裏はフレディを見送る他のメンバー3人の後ろ姿のシルエットである。
エンディングは延々続くノイズなのだが、どこか心臓の鼓動を映すオシログラフのようなイメージを思い浮かべる。
このアルバムは名作であり、素直に感動した。
フレディの魂は、感性の低い自分の心をも、揺すっていったのだ。

アーチストとは、死してなお、後世の人々を感動させるチカラを持った人間の称号である。


クイーン久々の大作。
フレディのボーカルもいつもながら魅力ですが、ブライアンのフラメンコ・ギターにもご注目下さい。
クイーンで、「Innuendo」。


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