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エアチェックの夜 16

第16回 U2 2001.9.9


POPS60 1987.8.7

Lean On Me/Club Nouveau
Don't Dream It's Over/Crouded House
What You Get Is What You See/Tina Turner
Into Deep/Genesis
The Way It Is/Bruce Hornsby & The Range
5150/Van Halen
Can't Get Started/Peter Wolf
Finer Things/Steve Winwood
Every Beat Of My Heart/Rod Stewart
I Know What I Like/Huey Lewis & The News
Back In The High Life Again/Steve Winwood
I Still Haven't Found What I'm Looking For/U2
C'est La Vie/Robbie Nevil


80年代突入とほぼ同時に洋楽に目覚め、数多くの曲を聴き、エアチェックでコレクションし、アーチストの情報を仕入れてきた。
当時人気だったほとんどのアーチストは、現在当然のように歳をとり、音楽シーンから消えている。
ビリー・ジョエルのように引退を公言してしまったような例もある。

その中にあって、80年代に登場し、今なお最前線にいるバンドがある。
U2である。

実はそれほどまじめにU2を聴いてきたわけではない。
アルバムで持っているのは2枚だけだ。
聴いていないアルバムもある。

最初にエアチェックしたのは「The Unforgettable Fire(焔)」である。
それより前にもいくつか曲は聴いたことがあったが、あまり興味がわかなかった。
日本でも人気が出てきたのは83年頃だと思う。
貸しレコード店にアルバム「War」がたくさん入荷されたのを覚えている。
このジャケットは怒りに満ちた少年の顔写真で、ヘビメタのような印象を受けたため、勝手に遠ざけてしまったのかもしれない。

それから少し後に、テレビで「ウッドストック"US"フェスティバル」という大きなライブイベントの放映があり、ヴァン・ヘイレン、ジューダス・プリースト、スティービー・ニックスらに混じってU2も参加していた。
彼らのライブ映像を見たのはこれが最初である。

ボーカルのボノはステージをやたらと動き回り、ついには照明の柱に登って、彼らのシンボルである白旗を掲げていた。
このパフォーマンスには強烈なインパクトがあった。
ここで初めてこのバンドに対する興味がわいたのである。

さっそく雑誌などを調べてみた。
アイルランド出身の4人組で、3人はクリスチャンであること、反戦非暴力のメッセージ色の強い歌を作っている社会派のバンドであり、白旗をシンボルとしていることなどがわかった。

「War」には「Sunday Bloody Sunday」「New Year's Day」など、深い悲しみと怒りが込められた重い曲が収録されていた。
その頃好んで聴いていたボストンやヒューイ・ルイス&ザ・ニュースなどとは明らかに違う音だった。

その直後、彼らは新作「The Joshua Tree」を発表する。
たまたま自分は前々作の「War」を遅れて聴いたので、ほぼ同時にこの2枚のアルバムを知ることになる。

「The Joshua Tree」は「War」とは全く違うアルバムだった。
モノクロの古い映画のようなジャケット。
エッジのギターはさらに細かく音を刻んでいたが、「焔」のようなテクノっぽい音ではなく、賛美歌のようなキーボード音と混じって不思議な雰囲気を作り出している。
あの血管が切れそうなボノのボーカルも、このアルバムでは非常に落ち着いている。
歌詞は反戦や労働問題を扱った内容も多いが、ギラギラした感情の猛りはかなり押さえられていた。
いわば「悟りの境地に達した」ような音なのだ。
U2はこのアルバムで音が確かに変わったのだった。

幸運?なことに、自分は2つのアルバムをほぼ同時に聴いたため、「音が変わった」という印象はそれほどなく、どちらもU2の音として受け入れることができた。
(変わったことを受け入れられなかったのは、もっと後の話である。)
今でも「The Joshua Tree」は好きなアルバムの1つだ。
「Where The Streets Have No Name」
「I Still Haven't Found What I'm Looking For」
「With Or Without You」
この最初の3曲はいずれも名曲である。

好みのアーチストの新作にがっかりするのはよくある話だ。
メンバーチェンジがあったり、プロデューサーが変わったとたん、「なんじゃこの音は・・」となってしまうバンドは多い。
しかもそれは世間の評価とは必ずしも一致しない。
「The Joshua Tree」はセールス的にはそれまでで最も売れたアルバムだが、「変わった」ことへの批判もよく聞いたものだ。
以前からのU2ファンの中には、受け入れがたい人もいたのだろう。

自分がU2に対してそのような想いをさせられたのは、アルバム「Achtung, Baby」(1991)からだ。
U2自身、方向転換を認めており、離れていったファンは「The Joshua Tree」の時よりも多いと思う。
90年代に入るとU2はポップ路線を歩むようになり、ライブも仕掛けが大がかりになった。
その後の「Zooropa」「Pop」を含め通称「ポップ3部作」と言うらしいが、いずれもあまりよいと思えなかった。(人気はむしろ上昇していた気はする。)
結局90年代はほとんどこのバンドについて聴くことはなかったのだ。

ボノ自身、最近のインタビューでは「80年代当時はU2はただ音のでかいフォークバンドだった」と、以前の音に否定的な発言をしている。
それを見た時もなんだか少し残念だった。

そして98年にはベスト盤が発表される。
イヤな予感がした。
ベスト盤を出した直後、モメごとが起きたり音が変わってしまって、興行的に失敗するケースは多い。
スティクスもヴァン・ヘイレンもみんなそのクチである。

ところがU2はコケなかった。
2000年に新作を発表し、チャートに登場したのだ。
「Beautiful Day」というシングルのプロモ・ビデオはなかなかカッコいい。

U2は変化し続けてきたバンドだ。
音楽も人間の営みだとすれば、音や歌詞は残るが、活動そのものは不変ではない。
聴く側だって同じであり、「変わらない」のが好きな場合も、「変わった」ことが良かったと思える場合も、どちらもあって当然である。
「変わらない」ことに固執するあまり、逆に時代の変化についていけず、古くさくなってしまうケースもある。

このバンドは変化を恐れずに活動している。
(しかもロックバンドには珍しく、デビュー当時から全くメンバーチェンジをしていない。)
たまたまそれが受けて、人気を維持できているだけかもしれない。
が、彼らの根底にはたぶん反戦非暴力の悲しみや怒り、神に対する崇高な想いが変わらずにあるはずだ。
世界にメッセージを発信するには、それなりにチカラを持っていないと、人の心に伝わらないし動かせない。
たぶんU2はそれを知っている。
だから決して金や名声のためでなく、世界に何かを訴えるために、彼らは自らが最前線にいる必要があることを知っているのだ。

これがわかったのは本当につい最近だ。
音が気に入らないだけで遠ざけるのは簡単である。
しかしなぜU2は変わりながら前進する必要があったのか、それを考えてからでも「聴かない」と判断するのは遅くない気がした。

音楽は奥が深い。単に音の上下と歌詞の接合だけではない。
歌い演奏する側の想いが必ずある。
聴く一方の自分でさえそう思うのだから、自ら演奏したり歌ったりする人たちにとって、それは「何を今さら・・」の真理なのだろう。

まだ聴いていないU2の昨年のアルバム、「All That You Can't Leave Behind」。
少し「考えて」聴く必要がありそうだ。


彼らの活動を象徴するような名曲です。
U2で、「I Still Haven't Found What I'm Looking For(終わりなき旅)。」


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