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エアチェックの夜 14

第14回 煙草 2001.8.7


POPS49 1986.8.17

Yankee Rose/David Lee Roth
Party/Boston
Don't Forget Me/Glass Tiger
Baby Love/Regina
Here To Eternity/Rod Stewart
One Year Of Love/Queen
All Eyes/Heart
Press/Paul McCartney
Underground/David Bowie
Moneys To Tight/Simply Red
Reflex/Duran Duran
Material Girl/Madonna
Stuck With You/Huey Lewis & The News
Jimmy Jimmy/Madonna


唐突だが、自分は煙草が嫌いである。
好きになる理由が特に見あたらない。
煙のにおいが嫌いなのだが、それ以上に困るのが、吸っている人間の態度である。

成人男性の半数以上は吸っている側だから、その理由や思考は様々かもしれない。
ただ吸う側になぜかよく見られる態度は、正直賛同できないことが多い。
この問題は人間関係に発展するからやっかいなのだ。

まず多いのが、吸わない側に迷惑をかけているという自覚が全くない態度である。
禁煙時間や場所を守らない。迷惑であることを告げると、「オレの勝手だ」という回答。
文字どおり勝手な人である。
こうなるともう日本語の通じる相手とは思わないようにするしかない。

意外に多くて困るのは、銭湯や温泉の脱衣所で風呂上がりに吸っているオヤジである。
「においが他人の服やカラダに付く」ことに気がつかないのだろう。
今風呂に入ってカラダや髪の毛を洗ってきたのに、脱衣所が煙で充満しているとがっかりである。
片っ端から抗議してやるが、たいがい「今までの生涯でそんなことを言われたことがない」という顔をする。
まあこっちは結構その表情がおもしろくて注意してやったりするんですけどね。

次に多いのは、吸わないこちらの人格や性格の評価をして問題をすりかえようとする姿勢である。
曰く、「タバコをたしなむこともわからないカタブツ」とかいう評価である。
こっちのことはどうでもいいから、とりあえず消したらどうですか。
そういう「ステレオタイプ」な評価しかできないこと自体、むしろカタブツな思考だと思うのだが。

「こんなものはいつでもやめられる」と豪語する人もいた。
「じゃあこの1本で生涯最後のタバコとしましょう」と言って残りを箱ごと取り上げたら、さすがにあわててましたが。
だったらそんなこと言わなきゃいいじゃん。

「タバコは文化だ」という理論を持ち出すヤツもいる。
(ちなみにテレビで公言したのは和田勉だ)
迷惑だという話と、煙草が文化だという話は全く別の次元である。
交通事故の遺族に向かって「クルマは文化だ」と言っているのと同じだ。
文化論も結構だが、「文化だから」と言って周りに迷惑をかけていいことにはならない。
だったら「放火も文化」「戦争も文化」「搾取も侵略も文化」である。
煙草の文化論については、後述したいと思う。

まあ等しく言えるのは、なんとか現状の「吸える」環境を守りたい気持ちが、上述のようなおかしな論理や態度に表れてしまっていることだ。
おそらく吸う側にも多少の後ろめたさはあるのだろう。
もちろんカラダには悪いし、周りにもいやがる連中は少なからずいるし。
そいつらを論破するような理屈は、どうやってもひり出せないし。
そりゃそうだ。「吸う」行為は極めて個人的な理由でしかないのだから。
今まであげてきた「吸う側理論」の、「煙草」の部分を「くさや」とか「覚醒剤」に置き換えてみるとよくわかる。
原理は同じだから、何も説得力がない。

屁理屈めくが、煙草は子供のものだと思っている。
そもそも吸う動機は「オトナのマネをしてみたい」ことにある。
つまり子供の思考なのだ。
周りに迷惑をかけている自覚がない。
吸い殻を投げ捨てても平気。
理屈をこねてなんとか吸える環境を守ろうとする。
全て子供思考だ。自分のことしか考えない、非社会的思考でしかない。
だから吸っているヤツは子供なのである。
そんなもんオトナになったら、恥ずかしくて吸えないって。ホントに。

最近鉄道各社ではかなり禁煙が浸透してきており、駅にはたいてい専用の喫煙コーナーがある。
ここで灰皿を中心にした喫煙者達の姿は、遠くから見るととてもまぬけだ。
ただ煙草を吸うためだけに、見知らぬ同士が灰皿を囲み、無言で煙を吐き出している。
楽しそうな人はほとんどいない。
駅でゴルフのスイングの練習をしているヤツもなかなか絶滅しないけど、あれと同じくらいアホウな光景である。
やめたほうがいいって、やっぱり。

こうして吸わない側からの理論を重ねていくと、吸う側から見て「とてもイヤなヤツ」になってしまうのが悲しいところだ。
徒党を組んで「嫌煙権」を訴えるようなことは趣味ではない。
「戦争反対」の旗印のもと、史実を曲げたり偏向な思考を他人に押しつけたりするのと変わらなくなるおそれがあるからだ。

よく「喫煙者のガン発生率は非喫煙者に比べ高い」などといった研究結果が報道される。
この話に多くの喫煙者は「自分で好きで吸ってるんだからガンになっても悔やまない」などとスゴイ理屈をこねたりする。
まあそれは確かに本人の勝手だし、吸わない人までが煙でガンになることの因果関係はまだよくわからない。
それが「煙くらいでガタガタ言うなよ」という理論になってしまうのだろう。
本当は吸う側にとっては、どれも耳の痛い話なんだろうけど。

では「他人に迷惑をかける」という実例として一番イヤな例をあげてみよう。

中年男性が意識不明にまで陥るような大病をした場合、喫煙経験の有無によって、その後起こる症状に決定的な違いがある。
喫煙者の場合、まずほとんどは痰がからむのだ。
吸ってきた時間が長いほど顕著に現れる症状らしい。
意識不明のまま、あるいは全身に麻痺が残った場合、それはとても悲惨な結果を生むことになる。
本人だけの問題では済まない場合があるのだ。

自分で痰を外に出すことができないから、誰かが取ってやることが必要になる。
そうしないと気管につまって呼吸困難になってしまう。
機械で自動的に取る方法もあるが、手作業で取った方が具合がいいことが多い。
しかし呼吸は寝てもさめてもするものである。
いつ気管に痰がつまるかわからない。
痰除去のための完全看護が必要となるのだ。

で、そんな大変なことを誰がやるのか。
病院で看護婦や付き添い人がやる場合もあるが、それぞれの事情で、家族の誰かが行うことになることもあるだろう。
そんな場合、多くは妻・嫁・娘といった、女性が犠牲になるのである。
男が長年好き勝手に吸ってきた煙草の、最悪の犠牲となるのが家族の中の女性なのだ。

医療技術の進歩により、このあたりは実際には改善されているかもしれない。
しかし全ての医療機関に最新設備があるわけでもないし、患者側の事情も様々である。
今なお男の痰を取ってやるために、拘束されている女性が全国の病院や施設にいるはずなのだ。

こういうことをどこのマスコミも絶対に報道しない。
理由は2つある。
ひとつには、マスコミで働く男性記者のほとんどが喫煙者だからである。
新聞などでたまに「分煙」を扱った記事を見るが、書いた記者が喫煙者かどうかは案外簡単にわかってしまう。
記者自身が喫煙者だと、どうしても記事にチカラが足りないのだ。
もうひとつは、日本たばこ(JT)が新聞・雑誌・テレビに大きな広告を入れることが多いためだ。
当然「反煙草」報道はできないことになる。
悲しい話だ。


では「煙草は文化」というのはどういうことを言うのか。
自分の思う例で説明してみよう。

ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースというバンドに、マリオというベーシストがいる。
彼のトレードマークはサングラスに煙草である。
マスコミ用の写真やCDジャケットでも、彼は必ずサングラスにくわえ煙草なのだ。
来日時の記者会見の写真を雑誌で見たことがあるが、「バッドボーイ」マリオは煙草を割り箸でつまんでいた。
「Stuck With You」という曲のプロモ・ビデオでも、タンクを背負いダイビングをするメンバーの中で、マリオは水中でもサングラスにくわえ煙草だったりする。
これはアーチストとしての演出の手段であり、ここまで徹底してやることが「文化」と言えることである。

おそらくマリオが普段の実生活でも周囲に迷惑をかけつつ煙草を吸っていることは、想像に難くない。
しかしそれと演出の話とは別の次元である。
ロックを愛し、表現するための演出の小道具として煙草を使うマリオ。
これは素直におもしろいし、評価したい。
煙草を嫌う自分が、マリオのくわえ煙草姿をなぜ評価できるのか。
これがわからないヤツには、残念ながら煙草を吸う資格も、文化を語る資格もないと思う。


今日紹介するバンドは、リーダーよりも他のメンバーにも注目して下さい。
リーダーのヒューイ・ルイスの存在感はもちろん魅力ですが、各メンバーの個性あふれる演奏も必見。
ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースで、「Stuck With You」。


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コメント

TBありがとうございます。
勉強になりました。

本人だけの問題ではなく、犠牲者をも生む…
しかし「その時にならないと解らない」。
悲しいことですが愛煙家とその周囲の実態でしょう。
犠牲者にならない為の努力を惜しまないことも大切です。
もちろん犠牲者にしない為にも。

体に悪いことを知っていても吸う。
迷惑にならぬ様に努力しつつ吸う。
そうまでして吸う意味はどこにある?
タバコを吸う私ですら自問自答す。

投稿: はぁちゃん | 2004.11.06 11:13

はぁちゃんさん、コメントありがとうございました。
最初からかなり失礼な物言いになってしまい申し訳ありませんでした。
そんちょさんとは同意見ですが、自分の見方は少し特殊だという自覚もあります。

自分の父親はかなり前に脳出血で亡くなりましたが、発病直後にやはり痰がからみ、長く母親を拘束しました。
実はその当時夫婦仲はよくなく、かといって夫を見捨てるわけにもいかず黙って痰を取る母を見てきました。

もちろんタバコを吸われる方が全てこういう運命にあるわけではありませんが、例えば交通事故などで一時的に意識不明となった時でも、喫煙経験の有無で経過が異なるはずです。

タバコを気持ちよくたしなんでおられるところに、あまりにも悲惨な話を持ち出して申し訳ないとは思うのですが、こうした実状を見てきた自分にとっては、「あのーやはりやめたほうがいいんじゃないでしょうか・・?」とどうしても言いたくなってしまいます。

愛煙家の中には自分のこうした意見に本気で怒る方もいて、なかなか大変な問題なのですが、はぁちゃんさんから「勉強になりました」というコメントをいただけたことにとても感謝しております。
ありがとうございました。

投稿: SYUNJI | 2004.11.06 14:43

言黙(ことだま)さん、はじめまして!
小生のブログではトラバ本当にありがとうございました。
本当に小生はタバコが大嫌いなんです。
昨日も美味しいタイ料理店で香りと味を楽しんでいたのですが、近くの中年男女がタバコを吸い始めました。正直言ってムッときました!
吸うことを否定しているのではなく、場所とか周りを見てタバコをすって欲しいでですね。それを期待はできませんが・・・。

投稿: 湘南のJOHN LENNON | 2006.02.11 15:40

15年前にタバコをやめて、今では煙が大嫌いなけむりちゃんと言います。

>今風呂に入ってカラダや髪の毛を洗ってきたのに、脱衣所が煙で充満しているとがっかりである。

趣味と実益をかねてスーパー銭湯、日帰り温泉等よく行くのですが、水でぬれた体、髪の毛には染み込むような感じがしてすごく嫌です。

禁煙は医療系の職場で働くようになってから思い立ちました。脳梗塞と喫煙の因果関係は果てしなく大きいものです。大量に吸っていたら大きな確立で半身不随になると思って間違いないでしょう。

>今なお男の痰を取ってやるために、拘束されている女性が全国の病院や施設にいるはずなのだ。

痰の吸引は医師、看護師、もしくは家族に限られるので、安価に雇えるヘルパーでは不可。すると夜中にずっと家族の誰かが起きていなければならないのです。在宅看護の場合・・・JTに恨みはありませんが、止めましょう。

20年で体はリセットされるそうなので、今からでも遅くないです。

投稿: けむりちゃん | 2006.02.11 18:58

湘南のJOHN LENNONさん、初めまして。
こちらこそ先日はTBありがとうございました。
音楽の話でTBしたかったのですが、BLOGを拝見してあのエントリに非常に共感しましたので、かなり昔の文章ですがTBさせていただきました。

飲食店での煙草は本当に迷惑ですね。
若い人は注意すればほとんどが消してくれますが、年輩の人の中には注意すると本気で怒るヤツもいてやっかいです。

先週図書館である本を借りたのですが、家で開いてみてあまりの煙草臭さにまいってしまい、結局ロクに読めませんでした・・・
煙草を吸う人は、本にニオイがつくことなんて、一生気がつかないんでしょうね。

一応音楽BLOGのつもりなんで、またお好きなアーチストについてご指導下さい。

けむりちゃんさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
>水でぬれた体、髪の毛には染み込むような感じがしてすごく嫌です。

同感です。
乾いた髪よりもニオイがつきやすい気がしますね。

>すると夜中にずっと家族の誰かが起きていなければならないのです。

我が家もそうでした。
父親は入院していましたので、母は病室で寝泊まりし、夜中も父の痰の音だけで起きて処置をしていました。
半年くらい症状は止まりませんでした。
自分は当時まだ子供でしたが、両親の姿を見て、煙草だけは本気で恐ろしいと思いましたので、生涯で一本も吸ったことがありません。

「マナー」などという軽い言葉で語ってほしくない、そんな思いが常に自分にはあります。
本文にも書きましたが、もう少しこうした実態がマスコミによって公にされていかないものかと思います。

投稿: SYUNJI | 2006.02.11 22:26

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