« エアチェックの夜 24 | トップページ | 成人式 »

エアチェックの夜 25

第25回 漫画 2002.2.6


POPS105 1996.3.30

Carnival/The Cardigans
Fields Of Gray/Bruse Hornsby
Roll With It/Oasis
You Aughta Know/Alanis Morissete
Scatman/Scatman John
Runaway/Janet Jackson
Sexy Girl/Snow
Waterfalls/TLC
I'll Be There For You/The Rembrandts
Something For The Pain/Bon Jovi
Hey Now/Cyndi Lauper
Thank You/Page & Plant
The Tide Will Rise/Bruce Hornsby
If I Only Knew/Tom Jones
I Love Your Smile/Shanis
Raggamuffin Girl/Appche Indian


先日ある書店関連のホームページに、以下のような意見が提示されていた。
「子供の学力低下は親の責任。親が漫画ばかり見ているようでは、子供の学力向上も望めない」
これを見た時、二重にがっかりした。
学力低下と漫画を結びつけている点、書店関係者が漫画を見下している点の2つである。

漫画雑誌の氾濫は日本独特の文化らしいが、確かにいい歳こいたおっさんが電車の中で朝から少年漫画雑誌をひろげているのは、まあ美しい光景ではないかもしれない。
ただし漫画作品にもいろいろある。
良い作品もあればくだらないものもある。
それは映画や小説でも同じだ。

漫画を良くないものとする人に共通して言えることが2つある。
1つは「漫画=低俗」と言うことで、「ワタクシは低俗ではない」と世間から認められたいという意識がかいま見えること。
もう1つは、良い作品に出会っていないことである。
つまり、そいつは実は「漫画を読んでいない」のだ。

「学力低下は漫画のせい」などと言うのはかなり乱暴だ。
漫画以外にテレビ番組やテレビゲームなども対象にされることが多い。
いつまでたってもこの手の意見はすたれることなく沸いてくる。
漫画全てが良くないものと決めつけること自体、考えが偏向しているとしか思えない。
これだけ漫画が世間に流通していてなお、このような意見が出てくることも不思議だ。
あの宮崎勤が世間を騒がせた時、彼の部屋の様子が繰り返し報道され、漫画やアニメが批判の対象とされたことがあった。
あれだって漫画やアニメが殺人をおこしたのではなく、殺人犯となった宮崎がアニメファンだっただけの話である。

屁理屈を言うようだが、「学力低下は漫画のせい」と言う人は、人を説得するだけの「学力」を持っていないと思う。
親が漫画をやめて文学を読み、子供にそれを勧めて学力を高める、という方針だとしたら、そんな親子の方が信用できない。
漫画の中から「感動する」作品を見つけることも「学力」のうちだと思う。
それは漫画に限らず、文学でも音楽でも同じなんだけど。

もうひとつ気になったのは、この意見が書店関係者から出たことである。
漫画を売って儲けを出している書店が、そういうことを言ってよいのだろうか?
善し悪しはともかく、漫画は立派な産業である。
規模から言えば文学なんか足元にも及ばない。
一切漫画を扱わない覚悟で発言しているなら別だが、漫画のおかげで生活できる人が、そういうことを言ってはいけないのではないでしょうか?

分野としての漫画が好きになれない人は確かにいる。
それは好みの問題なので構わないのだが、自分の価値観だけで子供の学力低下問題にまで結びつける必要はないと思う。

子供のころの自分に「学力」があったとは今でも思わない。
ただしそれは漫画が好きだったためではなく、勉強が好きでなかっただけだ。
学力の定義は難しいが、自分についてはこんなことが言える。

「前門の虎、後門の狼」
「知らぬ顔の半兵衛」
「虎は死して皮を残す」
「一蓮托生」

これらの言葉は小学生の時に覚えたものである。
といって自慢しているわけではない。
学校で教わったものではなく、全部漫画から仕入れたものだ。

小学生の頃、少年ジャンプを愛読していた。
「アストロ球団」という野球漫画が一番好きだった。
9人の超人が相次いで登場し、最後に全員で野球チームを結成するという、野球版八犬伝のようなストーリーである。
今思うとかなり荒唐無稽で、描写や表現に大げさなところがあるのだが、セリフの中にことわざや故事成語をよく使っていた。
上記の言葉は全てこの漫画によって覚えたものである。
小学生の教科書にはまず載っていない。
しかし大人になった今、知っていないと「恥ずかしい」言葉なのではないだろうか。
それを「学力」と言うなら、または「知識」「常識」と置き換えてもよいが、自分が漫画によって得たのは感動だけではなく、「知識」「常識」も仕入れていたのである。
ただし自分は「だから漫画はエライ」と言っているのではない。
知識を仕入れるネタとなったのが、この例ではたまたま漫画だっただけなのだ。

「漫画ばかり読んでいると想像力が低下する」という意見もある。
小説なら場面や人物の心情を想像しながら読むので、想像力がつく、という意味らしい。
くどいようだけど、やはりこういう意見を言う人は「漫画読むのに慣れていない」としか言いようがない。
小説には絵がないんだから、漫画とは読み方が違うのが当然。
その違いすらわからないとなると、そっちの方がずっと問題である。

「学力低下」を懸念するなら、大人がすべきは「漫画をやめる・取り上げる」ことではなく、漫画も含めてあらゆる文化にふれる機会を与えてやることだけだ。
大人が無理強いしなくても、子供はちゃんと自分なりに感動する対象を見つけてくるはずだ。
だって、自分たちがそうだったんだから。
違いますか?大人のみなさん。


レッド・ツェッペリンはビートルズとほぼ入れ違いにイギリスの音楽シーンに登場したバンドである。
今さら言うまでもないが、ロックやブルースを基調に独特の様式を作り上げ、のちのメタルというジャンルの先駆けともなったバンドだ。
当時の保守的な人々から見れば、ビートルズですら騒々しい集団にしか思えなかったのだから、ツェッペリンの登場はさらに衝撃だったに違いない。

残念ながらツェッペリンの活動はほぼ70年代に限って行われており、自分にとってリアルタイムなバンドではない。
同時期に活動したディープ・パープルと、何かにつけて比較されることが多いが、自分の印象としては全く異なるバンドだ。
あくまで印象での話だが、ツェッペリンは芸術家集団であり、パープルは職人集団だと思う。
ツェッペリンの音は、ファンを魅了してやまない点ではパープルと変わらないが、独創的な面ではパープルよりも顕著である。
パープルが激しくメンバーチェンジしてきたのに対し、ツェッペリンは結成から解散までメンバーは不動だった。
これもツェッペリンが独特の様式を追求していった背景でもあったと思う。

そういう意味ではパープルの音の方が大衆的なのだ。
どちらもハードロックの元祖なのだが、日本でCMに使われることが多いのは、今のところパープルである。
「Highway Star」「Smoke On The Water」「Black Night」など、パープルを知らなくても曲を聞いたことがある人は多いだろう。
プラントやペイジのソロ活動に比べ、レインボーやホワイトスネイクの方がチャートイン実績があるのも、パープルがよりポピュラーなものだったことの裏付けだと思う。
(バンドとしての興業実績はどうやらツェッペリンに軍配があがるらしいが。)

どちらがいいとか悪いとか言うつもりはない。
それぞれに名曲があり、バンドとしての実績がある。
音楽産業における彼らの功績は偉大なものだと思う。

ロックもかつては「=不良」の図式をはめられた、不幸な歴史がある。
今でもインテリを自負する一部の人たちにとっては、「教育上よろしくない騒々しい音楽」なのかもしれない。
しかしさすがに今中学・高校生に対して「エレキギター禁止」「ロックコンサート禁止」といった規則をはめる学校は少ないだろう。
それだけ文化として成熟した、ということなのかもしれない。
そこまでに至ったのは、ロックを一つの芸術にまで高めてきたビートルズやツェッペリンやパープルらの活動と、それを支えてきた世界中のファンの存在があったからだ。

ロックを「不良」と断罪する姿勢と、漫画を「低俗」として子供から遠ざけようとする姿勢は、同じようなものだ。
自分の価値観からはずれたものを、子供に勧めるだけの度量がないということだ。
どちらも文化として残していくためにも、ひとりでも多くの人に、名作に出会ってほしいと思う。


ロックが普通に聴ける自由が、今の日本にはあります。
そんなことは当たり前のように思えますが、決して全ての国の常識ではありません。
ここに至るまでには様々な衝突や障害があったはずです。
先人の労苦に感謝し、この曲を捧げたいと思います。
ジミー・ペイジ&ロバート・プラントで、「Thank You」。


このエントリで楽しんでいただけた方はクリック願います・・→ banner_03.gif

|

« エアチェックの夜 24 | トップページ | 成人式 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/9509/92558

この記事へのトラックバック一覧です: エアチェックの夜 25:

« エアチェックの夜 24 | トップページ | 成人式 »