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エアチェックの夜 22

第22回 エアチェックの終焉 2001.12.22


POPS86 1993.1.6

Beauty And The Beast/Celine Dion
Everything About You/Ugly Kid Joe
Don't Let The Sun Go Down On Me/George Michael
Damn I Wish I Was Your Lover/Sophie B. Hawkins
To Be With You/Mr. Big
Masterpiece/Atlantic Starr
Human Touch/Bruce Springsteen
If You Asked Me To/Celine Dion
This Used To Be My Playground/Madonna
The One/Elton John
Sometimes Love Just Ain't Enough/Patty Smyth
When I Look Into Your Eyes/Firehouse
How Do You Talk To An Angel/Heights
I Will Always Love You/Whitney Houston


79年から洋楽オムニバステープを作り始め、現在までの本数は130本ほどである。
年代順に追っていくと、ある時点から新曲の収録が極端に少なくなっている。
1992年頃だ。

原因はいくつかある。
87年から働き始め、徐々に時間に余裕がなくなってきたこと。
89年に江戸川区から再び相模原に戻ったが、駅前の開発や高層住宅建設の影響で、FMの受信状況がさらに悪化したこと。
(現在自宅周辺はテレビ難視聴区域になっており、テレビ放送は有線化している)
そして洋盤新譜CDのレンタルが1年間禁止されたことである。

80年頃登場した貸しレコード店は、その後レンタルCDショップに形を変え、カネのない自分にとっては非常に有効な産業だった。
91年の新譜レンタル禁止期間設置に伴い、自分も必然的にレンタルCDショップから遠ざかっていった。
新譜を借りたくても、借りられるのは1年後である。
「聴きたきゃ買え」的なこの措置には納得がいかなかった。
(ちなみに国内盤の禁止期間は3週間だった。)

しかたがないので、MTVなどのビデオクリップから好きな曲をテープに録る作業を続けた。
元々シングル志向だったのだが、ますますその傾向は強くなった。
この頃から記憶に残る曲の数やアーチストも極端に少なくなっていく。

レンタル産業の難しさは、商品の価値の再現性が、取り扱うものによって異なる点である。
車やパソコン、重機械、おしぼりなど、レンタルされる商品は様々である。
これらはユーザーの手元にある時だけ使用可能な商品だ。
しかし音楽CDは他の媒体に複製することが可能である。
返却後もユーザーは同じような価値のものを利用することができる。
書籍もそういう面はあるが、現実的には同列には扱えない。
例えば文庫本程度の出版物でも、実際に全ページコピーすることはかなり大変である。

パソコンソフトなどはレンタル以前の問題だ。
日本中のパソコンユーザーの中で、ソフトの不法コピーをしたことのない人はいないんじゃないかと思う。
コピーできてしまう商品を売る側の問題でもあるのだが、コピーガードが厳しい商品だと、それ自体の売上に影響してしまうのが実状なのである。
最近はCD-Rドライブが標準装備されたパソコンが主流となっており、この現象には全く歯止めがかかっていない。

今思うと、新譜CDレンタル禁止措置を設定したことは、正しい判断だったと言える。
あのまま新譜レンタルが全く制限されずどんどん借りることができたとしたら、やはり新譜CDの売上には影響していたはずだ。
現在音楽CDの単価は当時に比べ多少安くなっている。
昔よりもミリオンセラーが増えていることも事実だ。
そういったかなり危ういバランスの上に、音楽産業は成り立っているのだろう。

商品をタダ同然で手に入れられる環境があり、なおかつそれが有償のものと何ら変わらないものを入手できるとしたら、それでもあえて有償でいいと言える人はどれだけいるだろうか?
反対に言えば、その状況にあっても「オレはタダでは音楽は買わないよ」というヤツの方が信用できないと思う。
今でさえCDもめったに定価で買わない自分が、ヤミ音楽配信によって好きな曲が入手できるとしたら?
情けない話だが、それが違法であっても、自分を制する自信は全くない。

消費者の道徳的判断(良心)だけに依存して著作権を守ることは絶対不可能だと思う。
著作権法に限らず、全ての法規制の根拠はここにある。
人間の「良心」に依存した世界はやはり危険だ。
だって、自分自身が全く危険なのだから。

少し話はズレるが、以前参加していたNIFTYの音楽フォーラムは、現在でもいわゆるブート盤に関する発言を規制している。
本来存在してはならないブート盤について、あれこれ論じること自体、アーチストの著作権を侵害する行為に荷担しているのと同然であるという判断からである。
だからと言ってブート盤が根絶されることはないのだが、フォーラムの姿勢は評価してよいと思う。

音楽を愛する者なら、音楽を生み出すアーチストの苦労に配慮して、対価を支払って聴くべきなのだろう。
至極当然のことなのだが、自分自身にとっても未だ難しい話である。


Mr.Bigは自分にとって、「FMエアチェックできなくなった」あたりのバンドである。
デビューは80年代のはずだが、初めて聴いたのは92年頃だ。
人気もあるし、いいバンドなのだろうが、実は残念ながらあまりよく知らない。
MTVや「NOW」系CDでしか聴いたことがなく、今に至る。
これはこの頃以降の他のアーチストも同じような状態だ。
かつてFMエアチェックで集めたアーチストについては、「曲を聴く」以外に、その経歴やメンバー動向の「情報を仕入れる」ことがセットになっていたのだ。
結局この頃を境に、自分の中でエアチェック時代とそれ以降の時代とにアーチストが区分されてしまった。
たまたま92年まで聴いたことのなかったMr.Bigは、このわずかなタイミングで、「後半の人達」になってしまったのだ。

93年以降、FMエアチェックで仕入れた曲は1曲もなかった。
FMラジオは片手間に聴くだけの機械となり、ポーズボタンに神経を集中させることもしなくなった。
同時にFM雑誌も徐々に衰退し、「エアチェック」自体が死語となっていった。
やや大げさだが、ひとつの文化の終焉である。

そのうちに「インターネットで仕入れた頃のバンド」という扱いのアーチストが出てくるのだろうか。
「情報を仕入れる」ならばインターネットは雑誌などの比ではない。
ただ、今後音楽配信の時代が本格的にやってきた時、自分はどのように音楽やアーチストと向き合うことになるのか、正直全くわからない。


さて今週の新曲紹介です。
録音の準備はよろしいでしょうか?
おっと、もうそんな人はいなくなったかな?
Mr.Bigで、「To Be With You」。

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