エアチェックの夜 5
第5回 離合集散 2001.3.14
POPS12 81.10.11
For Your Eyes Only/Sheena Easton
Lady/Commodores
Fire And Ice/Pat Benatar
Night Games/Glaham Bonet
Hold On Tight/ELO
Backfired/Deborah Harry
Urgent/Foreigner
Here I Am/Air Supply
Who's Crying Now/Journey
Jessie's Girl/Rick Springfield
Hard To Say/Dan Fogelberg
Girls On Film/Duran Duran
Tryin' To Live My Life Without You/Bob Seger
Going Downtown/Stray Cats
Cantero' Per Te/I Pooh
1. ジャズ・落語
2. メタル・アニメ
3. ロック・プロレス
上記3つは、趣味としてのジャンルの組み合わせである。
組み合わせの前者は音楽のジャンルだが、後者は音楽と何の関係もない。
また各3パターン間にも特に関係はない。
統計をとったわけではないし、根拠は何もない。
だが、自分にはこの組み合わせを趣味とする知り合いが複数いるのである。
ジャズと落語の組み合わせは、意外に多いのではないかと思う。
自分の知り合いには4人いる。中学の同級生2人、会社の元同僚2人である。
自分はジャズも落語も守備範囲外なので、何が共通するのかはわからない。
しかし、この4人とも、ジャズ・落語の組み合わせの存在を認めている。
メタルとアニメも、組み合わせとして「そう言えばいる」というところではないだろうか。
最近では、アニメ主題歌をメタル調にアレンジした「アニメタル」というタイトルでCDも出ている。
ただし、これも自分は守備範囲外である。
ではロックとプロレスの組み合わせはどうだろう。
まず自分自身はこれに該当する。(両方ともあまりまじめなマニアではないが。)
周囲に1人くらいは、両者を趣味とするヤツがいるのではないか。
ハードなロックナンバーは、レスラーのイメージに合うし、テーマソングに使われることもある。
エリック・クラプトンがかなりの格闘技通であることはよく知られている。
最近になって、両者にはある魅力的な共通項があることに気づいた。
それほど説得力のある話ではないかもしれないが、「離合集散」である。
つまりロックバンドの解散・脱退・再結成と、プロレス団体の解散・脱退・再結成・引退後の復帰などが、ジャンルの特徴のひとつとして似ているということである。
そして、こういったモメネタが自分は大好きなのだ。
人間同士の集団なので、初めは目的を同じとして集まり、やがて意見を違え離散していき、再び集まったりする。
宗教や企業・政党などにも同じ現象はよく起こる。
しかしロックとプロレスには、その様子を伝える専門のマスコミの存在がある。
それがファンの目を引き、ニュースとなり、宣伝効果を発揮し、時にはジャンルの魅力になったりするのである。
ロックファンというのは、バンドメンバーの動向を意外に追っているものだ。
プロレスファンも、レスラーがどの団体を経て今に至るか、かなり詳しく知っている。
離合集散がロックの魅力だというのは、かなり暴論かもしれない。
本来はエンターテインメントなものであり、音楽や詩が評価されてしかるべきものだ。
バンドの解散や、バンドの顔だったメンバーの脱退は、ファンにとってもダメージとなることも多い。
しかし、バンド解散やメンバー脱退が、アルバムの帯にアオリ文句として書かれるのはロックの特徴でもある。
もちろんジャズの世界にも落語の団体にも、同じ様な事態は起こっているのだろう。
しかしジャズや落語を語る時、離合集散がジャンルの魅力にまではなっていないと思う。
「さらばコージー・パウエル!」なんて文句は、ジャズのアルバム帯にはないだろう。
メンバー本人達にとっては迷惑な話かもしれないが、離合集散がひとつの売りのようになってしまっているバンドもある。
ディープ・パープルは代表格である。「パープル・ファミリー」という言葉もあるくらいだ。
また離合集散の中で、時にスーパーユニットと呼ばれるほどのグループが結成されることがある。
ブラインド・フェイス、ハニー・ドリッパーズ、エイジア、トラベリング・ウィルベリーズなどがそうだ。
これはロックファンにとってもプラスに作用する例なのである。
ただしスーパーユニットは、不思議なほど長続きしない。
フォリナーは1976年に結成された英米混成バンドである。
元々は6人編成だったが、81年に4枚目のアルバム「4」を発表し、その名のとおり4人組となった。
イアン・マクドナルド、アル・グリーンウッドという2人が脱退したのである。
脱退だけなら、どこのバンドにもよくある話だ。
しかしフォリナーの場合、真実かどうかは不明だが、2人脱退のウラ話として実に印象深いものが記憶に残っているのだ。
その話とはこうだ。
リーダーであるミック・ジョーンズは、イアンとアルの2人と意見が合わず、バンド解散まで考えていたが、バンドが自分のものであるという自負もあった。
そこでミックを含む4人は、イアンとアルにスタジオ集合時間を伝え、自分たちはその時間にはスタジオに行かないという行動に出たのである。
何度か繰り返すうち、イアンもアルも、「これはどうやら俺達をはずしたがっている」ことに気づき、脱退してしまったというのである。
しかも思惑どおり2人の脱退を成し遂げた4人は、2人の作ったテープをゴミ箱に捨ててしまった。
繰り返すが、この話は真実かどうか定かではない。
自分は雑誌とラジオでこの話を知ったのだが、あまりにも人間くさい内容に、不謹慎ながらわくわくした覚えがある。
これが理由でフォリナーを嫌いになったりすることは全くなかった。
純粋にロックの音や詩を追求しているファンから見れば、自分の感覚はすこぶる邪道なものだろう。
しかし、こういう楽しみ方もあることも、また「ロックならでは」なのである。
本来ロックとは反体制的な存在である。
離合集散は宿命のようなものであり、言い換えれば人間の業である。
かいま見える人間同士の思いのぶつかり合いが、ロックそのものであり、そしてそこから生まれる音楽は、時として平常心で作られたそれよりも大きな感動を呼ぶことがあるのだ。
ビートルズの「アビー・ロード」が名盤である理由もそこにある。
4人となったフォリナーは、アルバム「4」が大ヒットし、皮肉にも2人の脱退が成功に発展していった。
世界中をこれだけ感動させる素晴らしい音楽を作る人たちが、中学生のイジメのような行動をとってもめている・・
考えただけでも、おもしろくてしかたがないと思いませんか?
それでは今週の新曲。
タイトルどおり4人となったフォリナーの「4」から、
「Urgent」。
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コメント
こんばんは。トラックバック有り難うございました。
こちらの記事、実に興味深く読ませていただきました。フォリナーの中で、そんな事があったのですね。
冒頭の曲目、いやぁ~懐かしかったです。12曲は知っていましたよ。
また良かったら、自分のブログにお寄り下さい。
投稿: Junk | 2005.04.13 18:37
Junkさん、コメントありがとうございます。
フォリナーの話は当時複数の雑誌で見たことがあり、ラジオでもテレビでも誰かが話していた記憶があるので、真偽は定かではありませんが、噂としてわりと広まっていた話ではなかったかと思います。
4人になって「4」が大ヒットしましたしね。
>冒頭の曲目、いやぁ~懐かしかったです。12曲は知っていましたよ。
あっ、それはうれしいな。
こんな調子でエアチェックばかりしていて、テープは120本くらい作ってしまいました。
投稿: SYUNJI | 2005.04.16 00:39