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エアチェックの夜 3

第3回 Born In 1964 2001.2.12

POPS6  1980.8

Lost In Love/Air Supply
Price On Love/Knack
Ride Like The Wind/Christopher Cross
Anyway You Want It/Journey
Second That Emotion/Japan
Call Me/Blondie
I'm Alive/ELO
Pilot Of The Airwaves/Charlie Dore
We Live For Love/Pat Benatar
Killer Queen/Queen
Shandi/Kiss
Clones (We're All)/Alice Cooper
Play The Game/Queen
Day Tripper/Cheap Trick
New Romance/Spider
You May Be Right/Billy Joel
Good Times Bad Times/Cheap Trick
China Town/Thin Lizzy


自分は1964年生まれである。

1964年は東京オリンピック開催と東海道新幹線開通があった年である。
日本の歴史の中ではかなり大きなイベントのようだ。
テレビは生まれる前からあった。
オリンピックの記憶は札幌・ミュンヘンからである。
長嶋茂雄の現役にはかろうじて間に合い、アポロ12号の月面着陸もかすかに憶えている、そんな世代である。

各界にはこんな同い年がいる。
薬師丸ひろ子、野々村真、内村光良、高島礼子、山口智子、ヒロミ。
斎藤雅樹(巨人)、石井浩郎(近鉄-巨人-ロッテ)、ジャン・アレジ、ブラッド・ピッド、アンディ・フグ。

世代としての特徴は、当事者としてさほど感じるものはないのだが、マスコミではボーダーライン世代として引き合いに出されることがままあるようだ。
ボーダーラインとは、新しい機械やメディア・技術などに反応する割合がちょうど半分くらいだという意味らしい。
具体的には、パソコン・携帯電話・電子メール・インターネット・ゲーム機などを指し、よく使う人とほとんど使わない人がちょうど半分ということだ。
下の世代は当然使う側の割合が多く、上の世代はその逆である。
どんな統計に基づくものかわからないが、思い当たるところは確かにある。

それはなぜだろうか。
育ってきた過程において、音楽メディアが革命的発展を遂げているからだ。
1979年、ソニーのウォークマンが登場した。中学生の頃だ。
そして1982年にコンパクト・ディスクが登場する。

同世代なら、CDの初期の頃の価格を憶えているだろう。
普通のアルバムが3200円。当然LPより高かった。
こんな値段では普及するはずがないと、多くの人が思っていた。
しかしその後の展開は想像以上に急激だった。

我々はこういった技術やメディアの転換に、年齢的に反応しやすい最後の世代なのだ。
すでに生まれた時からCDがあったり、音楽を聴き始めた頃にはCDが普及していた、下の世代。
LPからCDへ移行した頃には、すでに社会人となって働いており、音楽から少しずつ遠ざかってしまっていた上の世代。
ちょうどその間に、1964年生まれを中心とした我々の世代がいるのである。

* * * * *
 
自分はLPレコードすら満足に買えない状態だったので、もっぱらエアチェックばかりしていたのだが、1980年頃、素晴らしい商売が登場した。
貸しレコード店である。

近所に初めて貸しレコード店ができてから、頻繁に通うようになった。
商店街の、炉端焼き屋がつぶれた後にできた「ブラウン」という店だった。
店の雰囲気は、今思うと西新宿のブート盤屋に似ていた。
店に出入りする若者の中では、かなり若い方だった気がする。
なにしろLPが1泊2日で300円程度である。先を争って新譜を借りた。

エアチェックは徹底して受け身だ。
しかし貸しレコード店登場により、能動的に音楽を選択するようになった。
エアチェックではやりのシングルを聴き、気に入ったら貸しレコード店でアルバムを借り、さらに気に入ったら昔のアルバムもチェックする。そういった順序でコレクションしていった。

100本を超えるオムニバステープの中で、最も収録曲数が多いアーチストはクイーンである。
そしてもっとも多くのアルバムを「借りた」アーチストでもあるのだ。
「戦慄の女王」から「ザ・ワークス」までは全部「借りた」。
ちなみに現在CDで持っているのは「華麗なるレース」だけだ。(安かったから。)
クイーンが絶頂期を迎え、全米ナンバーワンを獲得し、次々とヒット曲を飛ばした時期。
ウォークマンが登場し、いつでも音楽を持ち歩ける時代になった時。
貸しレコード店の登場で、新譜から昔の名盤までを聴くことが可能になった時。
これらが全部シンクロしたのが1980年なのだ。
16歳だった。

マニアの間では評価の高い、クイーンのセカンド・アルバム。
サイドホワイト・サイドブラックという、A面B面を利用したコンセプト。
CDになった時、その魅力は少し希薄になったとよく言われる。
ビートルズの「アビー・ロード」のB面もそうだ。
あれはLPだったからこそ、意味のある、味わいのあるものなのだろう。

1980年の、クイーンの「ザ・ゲーム」。
最も興行的に成功したアルバムであり、またシンセサイザー使用を解禁したという、クイーンにとっては転換期のアルバムである。それゆえ、ファンの間では意外に評価は分かれるようだ。
しかし自分にとっては、数ある名盤の中でも思い入れのあるアルバムである。
2曲目の「ドラゴン・アタック」と3曲目の「地獄へ道連れ」の、ほとんど間をおかない流れ。
そしてB面1曲目の「ロック・イット」のイントロを待つ、緊張した瞬間。
これらはやはり、LPならではのものだ。

* * * * *

1964年に生まれ、エアチェック・ウォークマン・貸しレコードという文化に染まりながら、1980年代に音楽に(偏向はしたが)傾倒したことは、ある意味幸福だと思っている。

かつて「新人類」と呼ばれ、上下の世代から奇異に見られたことは比較的よく憶えている。
「近頃の若い者は・・」という言葉は、古代ローマ時代からあったらしい。
マスコミでも連日「恐るべき17歳」「荒れる成人式」などの文字が踊っている。
確かに1964年生まれの自分でも、荒れた成人式を見れば「バカだなあ」とは思う。
ただし20歳がバカなのではなく、クラッカーを鳴らしたヤツがたまたま20歳だっただけだ。
「世代の評価」に何の意味もないことなど、実は「我々の世代」はとっくの昔に気づいていたのだ。

これから音楽配信の時代がやってくる。
この配信時代に、10代の多感な頃を過ごした世代が、音楽をどんな風に感じていくのか、今とても興味がある。

それでは今週の第1位。
全米1位を獲得したクイーンの「ザ・ゲーム」から、
「Play The Game」。


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コメント

SYUNJIさんこんばんわ。
ブログ始められて10年以上なんですね。
記事読んでいてちょとしみじみしました・・・
なんて感傷的で良い記事なんだろうか・・と
LP時代のA面B面の味わいなんて、思わず懐かしいなぁーと感じてしまいます。
イーグルスの【ホテル・カリフォルニア】なんてB面から始まる哀愁はゾクゾクします。
クイーンの【プレイ・ザ・ゲーム】うん、名曲ですね。

投稿: ボレロ | 2011.09.07 18:14

ボレロさん、こんな10年前の記事にコメント感謝です。
厳密に言うとBLOGは8年弱くらいなんですが、この「エアチェックの夜」はそれより前に友人のサイトに1年半くらい連載していたものです。
なので全般に文章がカタめになっています・・(ダサイとも言う)

書いたのは確かに10年前ですね。
考えは今もあまり変わっていません。
LPをひっくり返してB面のイントロを待つ、という感覚は今や貴重なものだと思います。
今後はA面B面はおろか、「アルバム」という商品形態もなくなっていくのかもしれませんね。

投稿: SYUNJI | 2011.09.08 23:13

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