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エアチェックの夜 2

第2回 唯一のライブ 2001.1.30

POPS2 1979.10

I Want Your Love/Chic
Tragedy/Bee Gees
Sultans Of Swing/Dire Straits
Don't Stop Me Now/Queen
Honesty/Billy Joel
Precious Love/Bob Welch
I Was Mode For Dancin'/Leif Garrett
Feelin' Satisfied/Boston
Heaven Knows/Donna Summer
Roxanne/Police
Goodnight Tonight/Paul McCartney
In The Navy/Village People
Heart Of Glass/Blondie
Speak Now/Cheep Trick
Love Of My Life/Queen
Love You Inside Out/Bee Gees


エアチェックでオムニバステープを作り始めて2本目で、あるバンドを知った。
ポリスである。

幸運なことにデビューからリアルタイムで聴くことができた。
気に入った曲があると、雑誌などでアーチストの素性や経歴などを調べるのがとても好きだ。
自分は「音楽は人から入る」のである。
さっそくポリスについて調べてみた。ソースはもちろん「ミュージック・ライフ」である。
イギリスの3人組で、ボーカルはスティングという名のベーシスト、他ギターのアンディ・サマーズ、ドラムスのスチュアート・コープランドというメンバーであることがわかった。

初期のポリスはレゲエ・パンク色を帯びたサウンドで、「ニューウェーブ」などと呼ばれたこともあった。
日本でも意外にデビュー当時から人気が出て、80年には来日公演が行われた。
そして翌81年、3枚目の「ゼニヤッタ・モンダッタ」という妙なタイトルのアルバムを発表し、再度日本公演が行われた。
この81年の日本武道館公演が、自分にとって初めて、しかも唯一のライブ鑑賞となる。

初めて見る日本武道館の大きさ、客の多さ、ダフ屋のガラ悪さに驚きつつ、友人と入場した。
東側2階席。決していい席ではなかったが、双眼鏡で3人の表情ははっきりわかった。
スティングがでかいウッドベースを持って登場。これは意外だった。
「高校教師」からスタートし、次々と演奏する3人。
途中スチュアートは何度かスティックを折り、その都度折れたスティックを客席に投げた。
アンコールは2回。2度目の登場の際、アンディがトンボを切った。
スティング以外の2人がかなり自分を主張しているように見え、カッコよかった。

その後ポリスはバンドとしては開店休業状態となり、スティングのソロ活動だけが目立つ。
バンドにとって解散・脱退・再結成などは宿命のようなものだ。
だが、ジャズに傾倒したスティングのソロサウンドはなじめなかった。
自分が好きなのはあくまでポリスのサウンドなのだ。

以後、ライブに行かなかったのは、ポリスのライブが気に入らなかったわけではない。
カネがないのも大きな理由だった。
そしてそれ以上に、ライブを見ている自分に、何か違和感を感じたのである。目の前にあこがれのアーチストがいて、まわりの観客とともに歓声をあげている自分。その姿をもう一人の自分が客観的に眺めているような、そんな感覚である。

そう、ライブを見ている自分のことを、ましてやライブ中に他人が見ているはずがない。
「こんなノリしてる自分はどっか間違ってるんじゃなかろうか」などと考える方がばかげている。
自意識過剰というやつだ。
だが、「ここは自分のいる場所ではない。」
意識のかなり底のあたりにそう感じたのだろうか。
以後どんなに魅力的なアーチストが来日しても、ライブに足を運ばなかった。

簡単に言うと「ライブが好きではない」ということになるのかもしれない。「そういうことともまた違う」と否定したくなる気もするが、とにかくエアチェックと雑誌のチェックが好きだっただけだ。
結果的にひたすら孤独にエアチェックを続けた自分は、いわば「音楽的引きこもり」状態となる。

正しく言えば、その前の年にポール・マッカートニー&ウィングスの日本公演を見に行くはずだった。
しかし公演はマボロシとなり、「チケット購入と払い戻しで電車賃損したなあ」という、つくづく貧乏な思い出が残った。
「行かれなくて残念だった」という感覚は、不思議と起こらなかった。

世間では本当の意味での若者の引きこもりが問題となっているらしい。
実際にヒッキーとなった経験はないので、確かなことは言えないが、引きこもりしてるヤツの半分は意地になっていると思う。
引きこもりをやめて外に出た時、家族や友人から「あれ?引きこもりやめたの?」と反応されることが、ヒッキーにとって最も恥ずかしいことなのだ。
自分が引きこもりをしようがやめようが、世界は関係なく回っている。
その現実をおだやかに受け止め、自意識の呪縛から解放されることが、ヒッキー脱退のポイントだと思う。

ポリスに話を戻す。
もう10年以上前だが、「ベストヒットUSA」というTV番組にアンディがゲスト出演したことがある。
小林克也の「この次の来日はぜひ3人で」という問いに、アンディは「そうしたいね」と答えた。

ハタから見れば「ライブ嫌い」にしか見えない自分だが、もし今ポリスが再結成されて日本に来るなら、行こうと思っている。
それは「行きたい」という希望ではなく、「行かなければならない」義務感のような感覚である。
このバンドは、自分にとってデビューと同時に自発的に好きになった初めてのバンドなのだ。
他人に勧められて好きになったのではない。俗に言う「自分で開拓した」バンドなのである。
それなりに年をとった3人を見ながら、また軽い違和感を覚えながら、ライブを楽しむことができると思う。
つくづくひねた感覚だと思うし、そんなヤツが見に来てもポリスも迷惑かもしれないが・・

あれから20年。
いつかポリスが再結成される日を待ちわびながら、引きこもりの日々は続いている。

それでは今日最後の曲。
ポリスで、「Roxanne」。


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コメント

SYUNJI兄さん、連日の熱いコメント、サンキューです。

>その姿をもう一人の自分が客観的に眺めているような、そんな感覚
>エアチェックと雑誌のチェックが好きだっただけだ。
これねー、すごくわかります。私もどこかそーいうところがあって、あのプリンスでさえもラブセクシーの時だったかチケットをこの手にしたというのに都合が悪かったのもあるけどそんな自分がいて他の人に行ってもらった…という。今でも好きな邦楽アーティストのライブですら日程もあるけど複雑な思いがあって行けないんですよね。あ、交通費も(爆)。
でもポリスに行けたのは貴重ですよ。すごく羨ましいです。一曲目から「高校教師」ですか!カッコイー!というワケで今日も朝から「ゼニヤッタ・モンダッタ」でノリノリです。
しかし兄さんのエアチェックの夜シリーズ、いいですね。またこれからもチェックさせてもらいます。ああ、ドナサマーも懐かしい!

投稿: | 2006.01.22 11:06

お嬢、コメント感謝です。
こんなバカなリスナーは世界中で自分だけだと思っていますが、共感していただけてなんだかすごくうれしいです。
全然ほめられた話じゃないですけどね。
しかもこのシリーズのあと「聴いてない」まで始めてしまってるし・・2年も続けてるし・・
どこまでアホウなんでしょ。

でもポリスのコンサートがイヤだとか気にいらなかったとか、そういうことではないんです。
むしろご指摘のとおりすごく貴重な体験で、かなり細かい部分までよく覚えています。
ちょうど「高校教師」が新曲で出た翌年だったんですよ。
だから1曲目に持ってきたんでしょうね。

前にも申し上げたかと思いますけど、このシリーズは以前友人のサイトに連載してた文章を持ってきたものです。
あまりに青臭い内容に自分でもヘキエキもしますが、まあお暇でしたらご一読下さい。

投稿: SYUNJI | 2006.01.23 00:05

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